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第一章 玄能の出現
・玄能の始まり (3)



槌の頭部が木製の場合、

打撃に必要な重量を確保するためには、

槌頭部が大きくなり、

打撃面も自ずと広いものとなります。

そのため、

打撃対象物(鑿柄)を打撃面の芯で捉えることが難しくなり、

作業効率は低下します。

しかし、

槌の頭部を鉄製にすることで頭部体積を小さく出来、

打撃対象物を打撃面の芯で捉えることが容易に成ります。

これにより、

其れまで以上に打撃精度を上げるための精進が必要になりましたが、

それを身に付けさえすれば、

無駄な体力を使わずに、

能率的な作業が出来るようになりました。


現在でも西洋では、

鑿叩きに木槌(マレット)が主に使われています。

不思議に思い、

イングランドの家具職人に

「なぜ鉄製の槌(玄能)を使わないのか」と尋ねたことがあります。

すると、

イングランドの職人は体も大きく体力もあるので、

マレット(木槌)で問題ないということでした。

ですから、

日本人の体格が比較的小さく体力も弱かったということも、

玄能という独自文化を創り出す要因の一つに成ったのかもしれません。
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今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
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