玄能・金槌・パチンコ槌・各種ハンマー製造                     HOMEサイトマップ
相豊ハンマー
           ご意見やご感想はこちらまでメールで送ってください。
blogtop 「心の章」top 「技の章」top 玄能日記 プロフィール 企業概要
玄能日記
日々感じる事を思いのままに書き連ねてみます。
2024/03/18 出来るだけ商品は安く提供したい。使用者が手に入れやすい価格で提供し続けたい。その為には口コミと紹介で商売する必要がある。周りを無言で納得させる品質に仕上げる必要がある訳だ。すると経費が掛からず良い塩梅で提供できる様になる。所が派手な宣伝で沢山売ろうとするから調和が乱されてしまう。
2024/03/17 子供の頃から自転車が好きだった。二輪や四輪の免許を取ってからも乗り続けた。20歳の頃にマウンテンバイクを購入した。やがてブームが訪れ高価なものが販売され始めた。にわかファンが現れ高価なものを購入して自慢し始めた。自転車乗りはエリートだと言う豪傑まで現れた。少し自転車に興ざめした。
2024/03/16 若い頃にスキーブームが起きた。ゲレンデには人が溢れ危険極まりなかった。私は呆れてスキーを止めてしまった。其の後ブームは落ち着いたが私はスキーを再開しない。スキー業界に嫌気がさしたからだ。左様にブームはにわかファンを熱狂させ共に常連客を醒めさせる。失くした信用は容易に回復できない。
2024/03/15 鍛冶屋の減少で出来ないものが増えた。文化の担い手の使う道具が手に入らないのだ。技術的に出来ない事もあるが価格の折り合いが付かない場合が多い。左様に損を覚悟でやる鍛冶屋などいない訳だ。だがこのままでは文化は途絶える。残る鍛冶屋が損を覚悟で一つくらい取り組んでみても良いと思うのだが。
2024/03/14 鍛冶屋だと言ったら格好良いと言われた。テレビで他所の鍛冶屋のパフォーマンスを見たと言うのだ。だが私は師匠に釘を刺されている。姿を晒して有名に成れば有象無象が無駄話を吹き込んでくる。故に鍛冶場に籠り息をひそめて居ろと。因みに鍛冶屋が格好良いと言うならば品質のみで勝負できる所だろう。
2024/03/13 品質の現状維持は退化に違いない。お客様の成長に負けない様に品質を進化させる必要があるからだ。だが進化の手掛かりは誰も教えてくれない。どの様に進化させるかは自ら編み出すしかないのだ。左様に雲を掴むような作業を毎日繰り返している訳だ。しかしこれが出来ないと工芸品は生き残れないと思う。
2024/03/12 人は教えられると勘が鈍くなる。自らに必要なものは自ら取りにいかなければ勘は養えないのだ。因みに私は学校の先生に俺には教えるなと言って叱られた事がある。鍛冶の講習会でも師範代に同様に言って嫌われた事がある。だが理解ある先生や師範代は私を放って置いてくれたのだ。分かる人は分っている。
2024/03/11 素人の勘は当てにならない。一方で玄人の勘ほど当てになるものはない。その違いは直感を頼りに思考を巡らせるかどうか。素人は直感を全てと信じて思考を止めてしまう。一方で玄人は直感を足掛かりに思考を巡らせ始める。其の蓄積が鋭い勘と成って現れるのだ。素人の勘は点であり玄人の勘は立体なのだ。
2024/03/10 学校で学ばなければ習得できないと多くの人が信じている。スキーを始めた時にそう感じて不思議な気持ちに成った。上手い人の背中を見れば充分に上達できると思っていたからだ。所属先のスキークラブの先輩達も同じ様に言っていた。左様に多くの人が金儲けの仕組みに取り込まれているだけの様に見えた。
2024/03/09 社会人野球のチームに入り球の握り方から学んだ。投げ方や打ち方を教わると楽しく成った。遂にトスマシンを購入して打ち込んでもみた。取り敢えずは煩雑なルールを脇に於いて楽しんだのだ。だが試合は憂鬱だった。勝つ為に手段を選ばない選手が目に付いたからだ。彼等は成長の機会を台無しにしていた。
2024/03/08 若い頃の事。就職した事業所で野球チームが作られた。人が足りずに野球を知らない私にも声が掛かった。ルールブックを渡されたがルールの多さに腰が抜けた。無理と断ったが強引に参加させられたのだ。左様に多くの人はルールに縛られる事に抵抗がない。私ならば野球をするだけで息が絶えてしまいそう。
2024/03/07 最初のキャンプは悲惨だった。雨降りで浸水したのだ。当時のテントは防水性が低かった。だが失敗は成功の母。以後はテント周りに溝を掘り排水できる工夫をしたのだ。左様にキャンプの醍醐味は不便を楽しむ事。便利になり過ぎたら飽きられる。不便を楽しませる提案がサービスを長続きさせる秘訣だろう。
2024/03/06 富裕層ビジネスなる成金相手の商売が繁盛した。これ見よがしな商品やサービスが失笑を誘った。貧富の差が開いて成金が貧乏人を挑発する好機だったのだろう。だが継続的に金持ちぶるには経費が掛かる。一時的な支出で収まる筈がないのだ。お陰で新品同様の高級車が中古車屋に溢れ返っているではないか。
2024/03/05 愛は勝つなんて言う人が居る。一方で貴方を大切にしない人からは離れなさいなんて言う人も居る。又、諦めなければ夢は叶うと説く人が居る。一方で足るを知る事が大切と説く人も居る。左様に世の中は左右に大きく振れた明快な言説に人気が集まる様だ。だが其の中間に本当の自由が不安定に存在している。
2024/03/04 中学生の頃は超真面目と言われ嫌われた。高校生に成ると不真面目だと非難された。だが私は何も変わらない。居場所が変わっただけなのだ。中学校は反抗的な不良が多かった。高校は従順すぎる優等生が多かった。彼等にとっては其れが正当な有様なのだ。左様に人は分り合えない。許し合うしかないだろう。
2024/03/03 真摯に向き合う人は其の行為自体に喜びを感じている。結果がどうであれ受け入れる筈なのだ。もしも結果に不満が有るならば未だ真面目さが足りていない。更に真摯に向き合う事で行為自体に喜びを感じたい。そもそも結果など死ぬ間際まで分からない。ならば過程を充実したものにするしかないではないか。
2024/03/02 無駄な事をする暇はないと考え生きてきた。やらないと決めた事はやらずに過ごしてきた。だが振り返れば結果として無駄に終わる事も沢山あった。だが自ら選択して始めた事は失敗しても無駄ではない。挑戦であり自らを鍛える試行錯誤と考える様にしている。左様に無駄な無駄と無駄でない無駄が有るのだ。
2024/03/01 素質と好奇心が足りていても親方との相性が悪ければ続かない。多くの場合にそれが原因で弟子は辞めていく。即ち齟齬により貴重な継承の機会が失われている訳だ。そもそも親方が其れに気付いていない。気付いていても何も始めない様にも見える。先ずは親方が気付いて学び始めなければ確実に滅ぶだろう。
2024/02/29 戦後我国では教育により工芸品製作に携わる職人能力の底上げが出来た。だが成熟した現代に於いて其の程度の能力では全く足りない。即ち教育程度で得られる能力では通用しないのだ。大切なのは素質と好奇心と親方との相性の3つ。其の3つを満たす求人が必須に成る。受入れた時に勝負はついている訳だ。
2024/02/28 弟子を育てたいと思った理由の第一は面白さを伝えたかった事。其れが出来たなら玄能の伝統は繋がると考えたのだ。即ち伝統を繋げる事は後付けだった。だがこれが最強だと思っている。何故ならば面白いと思うから知恵が湧いてくる。すると良いものが出来るしやってみたいと思う人も現れ始める筈だから。
2024/02/27 弟子を取っても独立されたら元も子もない。お前は馬鹿か?と弟子を受入れる際に忠告された。だが後進を育てなくては伝統が途絶えてしまう。誰かがやらなければいけないなら自分がやるしかないだろう。左様に先達の尻の穴が小さいから伝統は途絶えてしまう。出口を塞がれているから入らないし育たない。
2024/02/26 人の欲求には段階が有る。先ずは足りないものを欲する。次に与えてくれた場に参加したくなる。すると出来る様になる。そして与え始める。この段階を踏む事でより強い喜びを感じられるのだ。続いている事はこれが守られている。即ち人は得るだけでは満足できない。与えられる様になる動線が大切なのだ。
2024/02/25 世の中が便利になり過ぎて楽しくない。例えば私がキャンプを始めた50年前は粗末な道具を工夫して使った。其れ自体が楽しかった。だが今ではお金で何でも揃う。お陰で便利な道具に使われている人が増えた様に感じるのだ。そもそも人は工夫に喜びを感じる生き物だ。其の機会を奪われたから楽しくない。
2024/02/24 35歳で鍛冶屋に成った。其の前後で世界が全く違って見える。以前は世界が閉じて見えた。見えるものだけが全てだと思っていたのだ。だが今では世界がとても広く感じられる。見えていないものが有る事に気付いたからだ。ただ其の資質に私は気付いていなかった。気付くには師匠の導きが必要だったのだ。
2024/02/23 地元の刃物鍛冶が作った玄能を見せられた事がある。勘所を外した出来の悪いものだった。彼はお客に不備を指摘されて憤慨していた。其れを見て気付いたのだ。人は意外と玄能の勘所に気付いていない事を。所で玄能は驚く程に単純な形状をしている。だからこそ少しでも勘所を外せば使い物に成らなくなる。
2024/02/22 商材を探して地元の鍛冶屋を回ったという問屋が訪れてきた。予想外に後継者が居ない事に愕然としたと言う。だが私には世の中全体が人を育てる事を損失と捉えている様に見えてしまうのだ。故に問屋に進言した。他人事として捉えていては自らも身を滅ぼす。鍛冶屋を育てる気持ちで支援してもらいたいと。
2024/02/21 多くの人が無意識に興奮を欲している。故に興奮させる事がビジネスに繋がる訳だ。だが多くの場合に相手の興奮に自らも巻き込まれてしまう。予期せず舞い上がってしまうのだ。そして戦略を誤ってしまう。所で恐れながら私の玄能は何時でも欠品している。納品される迄にお客様の興奮は冷めてしまうのだ。
2024/02/20 鍛冶屋の先輩に勧められた事がある。「マスコミに露出して有名に成り興奮させてマニアを取り込め。」と。翻って師匠は「工場に籠り目立たずに腕を磨き続けろ。」と諭した。当然ながら私は後者を実践した。お陰で冷静に判断してくれるお客に恵まれた訳だ。興奮したお客は程なく醒めて離れていくものだ。
2024/02/19 疑り深い私だが師匠の言葉は直ぐに信用できた。兎に角正直で真っ直ぐな人だと直ぐに分かった。其れまでに出会った誰とも違っていた。そんな師匠に何時も掛けられていた言葉が有る。「先を急ぐ必要も周りを気にする必要も無い。工場で泣き続けろ。」と。そんな言葉を真に受けて鍛冶屋を続けている訳だ。
2024/02/18 子供の頃から大人の言葉を真に受けなかった。勝手な都合を押し付けられていると感じたからだ。社会に出てからも先輩や上司の言葉を真に受けなかった。取引先の指示も命令と受け取らずに要望と受け取る始末だ。左様に私はとても質の悪い性格をしている。だが其の疑り深さは鍛冶仕事に向いていると思う。
2024/02/17 我儘な両親に育てられれば期待もしなくなる。見切りを付けて自立できる様に努力し始めるだろう。国だって同じ事。期待するより出来る事から始めたい。文句を付けても変わる訳がないのだ。誰もが既に気付いている筈だ。上に居座る人達が変わろうとしない事に。彼等に見切りを付け自由に始めたいものだ。
2024/02/16 投資するなら先ずは自己投資。誰にも依存する事なく自らの手の内で行えるからだ。損失は最小限に抑えられ回収は高確率で可能だろう。そうやって経験を積んだ上で他の投資を考えれば良いのだ。だが自己投資に成功した人はお金に執着がなくなる様だ。稼ぎたい時に稼げると思える様になるからに違いない。
2024/02/15 自己投資は効率が良い。本を読むのも良い。優れた音楽や作品に触れるのも良い。感性を磨いて五感を研ぎ澄ますのだ。すると他人に見えない余白が見え始める。其処に競争はなく貴方のやる事も他人からは見えないのだ。左様に自己投資は人生の手綱を自ら握れる様にしてくれる。自由を手に入れられるのだ。
2024/02/14 口を揃えて景気が悪いと言う。まるで他人事の様に言っている。自ら不景気を作っている事実に目を背けているのだ。其れは渋滞に巻き込まれて不満を口にしている人と同じ。ならば事実を認め速やかに行動に移したい。即ち不自由な群れから抜け出せばいいのだ。不景気も渋滞も群れる事から始まるのだから。
2024/02/13 師匠が私に呟いた。職人なんて悲しいものだ。引退すれば顧みる人も居ないと。だがそんな事はない。やり遂げたと皆が思っている筈なのだ。所で2月13日はNISAの日らしい。力を落とした我が国の頼る先が投資だという。日本人総ギャンブラー時代の到来か?誰にも顧みられない国に成らなければ良いのだが。
2024/02/12 規則がなければ自らの身を自ら守らなくてはいけない。ならば鋭くなければ生き残れない。翻って規則があれば規則が身を守ってくれる。ならば鈍くても生きていける訳だ。即ち鋭さは規則の外で養われる。また規則を組織と置き換えても良い。即ち群れれば鈍く成り孤独は鋭さを養う。至極当たり前な事だが。
2024/02/11 好奇心の赴くままに生きる人は自らの無知を楽しむことが出来る。知らないという事を自らの伸び代と捉え恥ずかしいとは思わない。故に喜びと共に挑戦し続けることが出来るのだ。翻って知る事に腰が引ける人は好奇心を大切に出来なかった人。図らずも他人の目を気にして自らを偽ってきたのかもしれない。
2024/02/10 知らない事を知るのは苦痛を伴う。自らの無知を突きつけられるからだ。故に知っている事の再確認で安心しようとする。だから同じ事を繰り返して上達を試みてしまう。だが上達は無知を知る事から始まる。未知の世界が有る事に気付く事から始まるのだ。繰り返しで得られるのは上達でなく慣れでしかない。
2024/02/09 知らない事を教えても多くの人は喜ばない。自らの無知を認めたくないからだ。故に相手を喜ばすには相手の良く知る事を勿体つけて話せば良い。これはある有名講演家が言った言葉。即ち多くの人が集まる場には学びが少ない訳だ。所で私の師匠に教えを乞うた人は極めて少ないと聞いた。怖かったのだろう。
2024/02/08 守破離を実行するのは至難の技。だが赤ちゃんなら容易に実行してしまう。解釈せずにそのまま受け入れるからだ。故に自然にしゃべり始めてしまう。翻って大人が母国語以外を習得し難いのは其れとは逆。一旦母国語で解釈してしまうからだろう。解釈せずに受け入れない限り守破離の守で躓いてしまうのだ。
2024/02/07 弟子の育成を軽く見て失敗する人が後を絶たない。準備もしないで受け入れても上手く行く訳がないのだ。それ以前に覚悟が出来ていない様に見えてしまう。このままでは鍛冶屋は確実に滅んでしまう。故に後進を育成する前に親方が意識を変えなくてはいけない。なんて話を真剣に聞いてくれる親方は少ない。
2024/02/06 怒っている人は馬鹿に見える。そして憐れにも見える。だからそんな人には従わない。故に虐められて生きてきたのだ。だがそんな憐れな人に従う人も憐れに見える。そして同じ罪を背負っている様に見えてしまう。即ち怒る人に従う人が怒る人を正当化しているのだ。言うだけ言ったからこれで水に流したい。
2024/02/05 子供の頃から酷い目に会い続けてきた。しょうがないから水に流す様にしてきた。それでも腹の虫が治まらない事もあった。だが前に進みたいから水に流す様に努めた。お陰で大抵の事には腹を立てなくなった。所で些細な事でも水に流せない人が増えている様に感じる。水に流して晴れ晴れした方が良いのに。
2024/02/04 他人の真似をするなと師匠は言った。周りに目をくれずに独自のものを創れというのだ。だが其れ迄は手本通りに生きる事を周りに強いられてきた。そんな人生に辟易とした私は新鮮に感じてワクワクしたのだ。しかし他人と違う生き方は孤立を招く事に成った。だが新たな仲間との出会いの始まりでもあった。
2024/02/03 生涯掛けてもお客の要望に応えきれない。職人の減少で問い合わせが集中しているからだ。中には安価過ぎて手間に見合わないものもある。創り方の見当がつかないものも数多あるのだ。何とかしてやりたいが私と弟子だけでは手の施しようがない。伝統を守る為の知恵を絞る健気な職人が増えると良いのだが。
2024/02/02 加齢により明らかに体力が落ちてきた。筋肉には頼れない有様だ。だが筋肉に頼らない身体の使い方を編み出してきた。お陰で体力が落ちても仕事は続けられるのだ。即ち引退せずに永く続けられるという事。それでも人生は余りにも短すぎる。出来る事には限界がある。故に後進を育てなくてはいけないのだ。
2024/02/01 コミュ障と言われ続けて60年。学校では酷い虐めにあっていた。だが今では全然困らない。もの創りを通して意思の疎通が出来ているからだ。話下手でも出来たものを見てもらえば大凡の事は伝わる。出来たものが雄弁に語ってくれているからだ。左様にコミュニケーションは言葉だけで成り立つ訳ではない。
2024/01/31 引退後の師匠に弟子入りしたから作業を見ていない。創り方も教わっていない。雑談をヒントに試行錯誤で創っていたのだ。そんな私を師匠は面白がってくれていた。左様に師匠と私の意思疎通の仕方は世間と少し違っていた。所で私は会話の際に映像が頭に浮かんでいる。ヒントだけで出来るのはそのせいか?
2024/01/30 馬鹿で根暗と言われて育った。所謂コミュニケーション障害という奴だ。家族や学校の先生とも言葉が通じず自らも馬鹿だと思っていた。所が師匠の下を訪れて状況が変わった。師匠は私と言葉が通じると言って喜んでくれたのだ。今では弟子達とも言葉が通じている。それだけで充分に救われた気がしている。
2024/01/29 ご飯を食べる時に緊張する。子供の頃から両親に喚かれながら食べていたトラウマだろう。今でも両親と一緒に食べれば味がしない。早く食べて部屋に籠りたくなる。左様に家族団欒など想像すらできないのだ。だが同じ様な家庭も少なくないだろう。仲睦まじいホームドラマなどプレッシャーにしかならない。
2024/01/28 両親と話すことが少ない。同居しているが挨拶を交わす程度だ。必要な事は事務的にこなし世間話などはしない。何故なら会話が成り立たないからだ。だが子供の頃には話す努力をしていた。しかし話が噛み合う事は無かった。だから見切りを付けたのだ。すると気持ちが軽くなり穏やかに過ごせる様になった。
2024/01/27 師匠は私とは言葉が通じると言ってくれた。他の鍛冶屋とは言葉が通じ難いと言うのだ。だが私は師匠の言葉を理解できていなかった。しかし不思議と会話は成り立っていたのだ。其れは言葉ではなく感覚で繋がっていたから。左様に感覚を交わすことで会話は成り立つ。言葉に囚われるから先に進めなくなる。
2024/01/26 先生の言う事を聞かない私を咎める友人がいた。むしろ素直に聞く友人を不憫に思っていた。そして彼は飼い慣らされてしまった。だが彼は今も楽しそうに生きている。翻って私は資質を活かして自由に生きている。そして彼と同様に私も楽しく生きている。ならば指導者の言葉など他愛が無いのかもしれない。
2024/01/25 師匠の教えを冶金学の記号や数字に置き換えて聞いていたのを見透かされた。余計な解釈を入れずに其のまま受け止めろと叱られたのだ。考えたら英語を和訳して覚えるのも変な話。幼児は其のまま受け止め覚えていく筈なのだ。同様に職人も昔から師匠の姿を有りの侭に受止め技能を身に付けてきた筈なのだ。
2024/01/24 習う時は解釈を入れない事。知識で解釈すれば違うものに成る。例えば私は弟子入りの条件として既存の知識を脇に置く様に言われた。最初は迷うが実践出来れば迷いも消える。お陰で有りの侭に教えを受け止められたと思う。左様に言葉で言えば簡単だが実にこれが難しい。多くの場合に其処で躓いてしまう。
2024/01/23 若い頃は有り得ない程に世の中が荒れていた。企業はブラックが当たり前。過酷なハラスメントが日常茶飯事だった。左様に当時の当たり前は今の異常事態。だが今の常識に当てはめて過去を吊るし上げるのは残酷過ぎる。当時の日本人は遥かに未熟だったのだ。過去の反省や更生を認めない最近の風潮が怖い。
2024/01/22 国語の授業やテストが苦手だった。答えの無いものに答えをこじつけている様にみえて辟易としていた。感じるままで良い事に正誤を決めて押し付けられている様に感じたのだ。そもそも世の中の殆どがそんな風に感じられる。だから多数決では何時も負けてしまう。お陰で静かに生きる事を選ばざるを得ない。
2024/01/21 創り出し続ける事は更新し続ける事。故にマニュアル化が難しい。即ちマニュアルの充実は停滞を意味しているとも言える。所で工業製品には均一さが求められる為にマニュアルが大切になる。一方で工芸品には熟練による成熟が求められる為にマニュアルは要らない。工業製品と工芸品は其処が大きく異なる。
2024/01/20 代変わりして品質を落とす事業所は多い。先代の資源を活かしきれないからだ。そもそも資源の価値を理解できていない。故に勘所を外して品質を落とすのだ。所で職人の勘をAIに置き換える動きが有る。だが抽象化された暗黙知を正確に置き換える事は出来ない。出来たと言うなら其れはまやかしに違いない。
2024/01/19 機械生産の方が手創りよりも精度を出せる。科学的に作れば失敗せずに上手く成れる。鋼の組織と硬度の検査で刃物の良し悪しは判断できる。そんな言説を繰り返し先輩達に教えられてきた。だがやってみれば分かるが全て勘違いに過ぎない。前述の様な言説がまかり通る程に人間の感性は鈍く成ってしまった。
2024/01/18 過去の名工が銘品を創れたのは手先が器用なだけではない。日常生活に身体感覚を活かす機会が豊富に有ったから勘が鋭かったのだ。現代人は便利な生活に慣れて鈍く成った。ましてや都会暮らしは環境に変化が乏しい為に其れだけでとても鈍く成る。科学技術が発達しても鈍い人間に良いものは創れないのだ。
2024/01/17 省力化や仕組化で労働者は頭も身体も鈍らせた。誰にでも出来る仕掛けが人の感覚を鈍らせたのだ。AIが導入されたら更に鈍く成る事は間違いない。人は一体何を目指しているのか?一方で私は昔ながらの手作業で仕事をしている。非効率だが身体感覚は研ぎ澄まされる。それでも過去の工人の足下に及ばない。
2024/01/16 腕の良い職人の創るものは目利きが見れば美しく見える。だが見る目の無い職人には素っ気なく見えてしまう。故に見る目の無い職人が作ると勘所を外してしまうのだ。同様にAIの作るものも勘所を外し続けるだろう。何故ならばAIは暗黙知を知り得ないからだ。言葉や数値に出来ない要素こそ職人の宝なのだ。
2024/01/15 目利きが少なくなった。良いものを創っても正しく評価してくれる人が少ない訳だ。お陰でこの有様。AIで職人の勘を再現できると言う人まで現れてしまった。ならばやってみればいい。良いものの定義さえ提示できない人と同様にAIも袋小路に入る。良いものを見分けられないAIに良いものが創れる訳がない。
2024/01/14 製造業の後継者にもの創りの出来ない人が増えている。先代と古参職人の感性で今は仕事が出来ているかもしれない。だが其れも徐々に失われていく。品質は劣化し事故や怪我が増えていくだろう。其れを防ぐ為の仕組化を進めれば更に感性は鈍く成り続ける。すると身体感を失くした後継者には成す術がない。
2024/01/13 教えられる事が嫌いで自ら答えを探り出す事に拘りが有った。所が次第に学校教育に侵され教えられる事を受入れていた。お陰で身体感を眠らせていたのだ。だが幸三郎師匠の教えない指導で昔の感覚を取り戻す事が出来た。教えられなければ実験と検証をせざるを得ない。その作業が身体感を蘇らせてくれた。
2024/01/12 何も始めない人を助けようがない。健気に取り組むから助けたくなるのだ。所で有りの侭で充分と言われたら貴方はどうするだろう?言葉に甘え何もせずに其の侭で居るだろうか?有りの侭を活かす為に自らを掘り下げるだろうか?前者は縁を閉じる事に成り後者は縁を広げ続ける事に成る。貴方ならどうする?
2024/01/11 有りの侭に生きるのはとても大変。何も始めなければどんな状態が有りの侭なのかもわからない。様々な事に挑戦し自らを知る事から始めないといけないからだ。私も多くの失敗を重ねて自らの特性に気付くことが出来た。還暦を目前にして漸く有りの侭に近付けた気がする程度だ。死ぬまでに辿り着けるかな。
2024/01/10 憧れの人が居たなら会いに行くしかない。会えば其の人が本物かどうかも分ってくる。本物ならば会うだけで大きな気付きを得られるのだ。例え偽物と分かっても良い教訓に成る。左様に本物に会いに行き場と時を共有する事に適う学びは無いのだ。その為にも先ずは会ってもらえるだけの自分に磨き上げたい。
2024/01/09 もの創りは2度創られる。先ずは頭の中で観念的に創られる。次に物理的に創られる。左様にもの創りは具体的な行動を伴う訳だ。故に正否や巧拙は露にされ弁解の余地はない。観念的に騒ぎ立てるだけの人達とは緊張感の度合いが違うのだ。試しにやってみれば直ぐ分かる。目利きにコテンパンにされる筈だ。
2024/01/08 鍛冶仕事を始めた頃は体中が痛かった。身体を痛めて腰椎をチタンプレートで固定してある。あれから25年経つが今でも普通に仕事が出来ている。筋トレや薬に頼った訳ではない。ただ楽に仕事が出来る工夫を続けているだけなのだ。左様に大切なのは身体の使い方を工夫する事。身体感覚を鍛える事なのだ。
2024/01/07 身体感覚は脳ミソよりも賢い。頭で理解できなくとも身体は無意識に反応できるからだ。例えば職人は勘を頼りに仕事をするが其れを言葉で上手く説明できない。職人の語彙不足が原因ではなく身体感覚を脳が理解できないからだ。鍛冶仕事に熟練する程に世の中がすっきりと見えてきたのは其のせいだと思う。
2024/01/06 身体活動の減少は人間の閃きを奪う。身体感覚の鈍い知的労働者は身体感覚のみならず知的にも退化し続けるに違いないのだ。スポーツや筋トレで補おうともルールの決められた活動で補い切れるものではない。今後は事故や不祥事が増え続けるに違いないのだ。繊細な身体感覚なくして知的活動は有り得ない。
2024/01/05 何か気持ちが悪い。生理的に受け付けない。そんな時に人は無意識に避けてしまう。だが一寸待て。其処には貴方の知らない世界が広がっているのだ。だから少しだけ覗いてみよう。出来れば少し勉強してみよう。すると驚きの世界が広がっている筈なのだ。好機は違和感の衣をまとって貴方の前に訪れている。
2024/01/04 やりたい事を始める。立ちはだかる障害を乗り越えて前に進む。ただ其れだけで幸せに成れるのに始めない人も多い。生れや育ちを言い訳にして出来ない理由を並べ立てるのだ。だが其れで良いと思う。其の人生を選択したのは其の人であり他人が口を挟む筋合いではないからだ。他人が何か出来る訳でもない。
2024/01/03 地震で倒れて損壊した機械を立て直して修理してきた。1人ならば大変な作業だが弟子達とやれば苦にならない。弟子達には未経験な事も多く学びも深かった筈だ。そして振り返れば私もそうやって育てられた。ならば一人くらい弟子を育てても損はしない筈なのだ。一時的に貧乏に成るがその程度で済むのだ。
2024/01/02 好不況に関わらず私は何時でも低空飛行。上がりもしないし下がりもしない。興奮しないし落ち込まない。大志も抱かず絶望もしないのだ。そして今年も其のまま過ごしたい。なんて思っていた矢先にこの大地震。一寸先が闇だという事を突きつけられてしまった。ならば益々淡々と生きていくしかないだろう。
2024/01/01 褒める人には警戒しろと子供の頃に友達と示し合わせた。裏に意図が有る事を子供心に気付いていたからだ。所が今では慰める人がネットに溢れているから面白い。慰める人など褒める人以上に怪しいと思わないのか?日本人は飼い慣らされてしまったというのか?もっと自由に生きないと身を滅ぼしかねない。
アーカイブ 1
2015/01/31~12/31
アーカイブ 2
2016/01/01~12/31
アーカイブ 3
2017/01/01~12/31
アーカイブ 4
2018/01/01~12/31
アーカイブ 5
2019/01/01~12/31
アーカイブ 6
2020/01/01~12/31
アーカイブ 7
2021/01/01~12/31
アーカイブ 8
2022/01/01~12/31
アーカイブ 9
2022/01/01~12/31
 関連記事
求人連載 たった一人の継承者に向けて
未だ逢えぬ君へ送る・・・
「心の章」
求人連載 たった一人の継承者に向けて
未だ逢えぬ君へ送る・・・
「技の章」
玄能日記 私のどうでもいい日記です。
お暇な方だけどうぞ。(笑)