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相豊ハンマー
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玄能日記
日々感じる事を思いのままに書き連ねてみます。
2018/12/31 140文字のコラムを毎日書き続けられるのは、不思議で素敵だ。ネタを探す訳でもなく、続ける為に頑張ってもいない。仕事中に自ずと頭に浮かんで来るのだ。此の様に仕事を通して人生観を掘り下げられるのは、その仕事が向いている証拠なのだと思う。向いている事をやれば、勝手に思考は巡り出すのだ。
2018/12/30 職人仕事は暗黙知の集大成だが、言葉に出来るものは言葉にした方が良い。本当に理解出来ていれば、自分の理論の多くを明確に定義付け出来る筈だ。言葉にすることで、本当に理解出来ているのかどうかの確認も出来る。この作業は自分の能力の精度を高めると共に、後進の育成に欠かせない準備となる筈だ。
2018/12/29 周りが止めても、やらずには居られず始める事が多い。そもそも世間は人のやる事を止めたがるものだ。職場を辞めるのも鍛冶屋を始めるのも人を雇うのも、全て周りは止めに掛かった。だが、職場を辞めた途端に、後継者に成ってくれと地元の企業に乞われた。止めても始める熱い奴を世間は待っているのだ。
2018/12/28 鍛冶屋を始めて直ぐに、強力な御支援者のお蔭で実力以上の人気が出てしまい、恐怖に震えた。人気に伴う実力をつける為に必死に訓練した。すると益々人気が出て、益々訓練が必要に成った。今でも周りの期待に応える為、毎日必死に戦っている。ただ、恐怖に勝る好奇心を持ち合わせていたのが幸いだった。
2018/12/27 優れた手道具ほど使われ劣化し、刃物なら研ぎ減らされ消滅に向う。幸いにも玄能は劣化磨滅が少なく、正しく扱われれば、100年以上に渡り使い続けられることに成る。即ち、優れていれば100年以上に渡り愛され続け、出来が悪ければ恥をさらし続けることになる。そう考えたら、変なモノは作れない。
2018/12/26 精度の高い手道具作りに邁進すると、ある閾値から格段に格好良く出来る様に成る。格好良く出来始めると、何を作っても格好良く出来る。逆に、精度を疎かにして格好だけ付けていると、何時迄も格好悪いモノしか出来ない。野暮な人が格好を付けても格好悪く、洗練された人は何をしても格好良いのと同じ。
2018/12/25 「自信」は必要なのか、良く分からない。私は好奇心の有無で行動を決定するので、自信の有無を意識することが極めて少ない。ただやりたいからやり、やりたくないからやらないだけだ。ところで、赤ちゃんが這い這いから立ち上がるのは、自信が有るからなのかどうか、赤ちゃんに直接聞けたら素敵なのに。
2018/12/24 自分の仕事が上手いと思ったことが無い。更には、仕事以外の何事に対しても、自信を持ったことが無い。だが、自分を他人と比べる習慣が無いから、劣等感も持っていない。きっと人は、自信が無いから劣等感を持つのではなく、自分を良く見せようとして、他人を意識し過ぎるから、劣等感を持つのだろう。
2018/12/23 出来ない事が訓練により出来る様に成るのは楽しい。だが、嫌いでやりたくない事なら、それが苦痛に成る。今迄はその苦痛を労働者に強いて来たが、労働者不足の昨今ではそれも限界にきている。仕事の苦痛を給料や休日数の増加で労うのではなく、仕事自体に喜びを感じられる工夫が、今後益々必要に成る。
2018/12/22 怒りは人間関係を破壊する。怒りを感じること自体が破滅への序章となる。だから怒りを我慢するのではなく、怒りの感情自体を生まない様に心を制御するのだ。起きた事に反射的に応じるのではなく、一呼吸置いて最善策を考える習慣を身に付ければ良い。私の様な短気には必須の訓練だが、やる人は少ない。
2018/12/21 従業員の適性を判断し、好きや得意に成りそうな事をさせている。此方よりも相手の都合を優先する訳だ。すると、勝手に仕事を覚えてくれるので、手が掛からずに楽が出来る。やむを得ず苦手な事を頼む時には、出来るだけ楽しく出来る工夫をする。余裕の有る側が歩み寄ることで、皆が楽しく仕事が出来る。
2018/12/20 好きで得意を仕事に活かす為に、嫌いで苦手を代行してくれる企業を探し、引き受けてもらう必要が有る。更に、自分以外でも出来る仕事は、好きで得意であっても他所の企業に引き受けてもらう様にするのだ。すると、好きで得意な上に自分にしか出来ない仕事だけが手元に残る。此れが楽しくない訳がない。
2018/12/19 好きで得意を活かして世の中に貢献したいと願う私は、好きでも得意でもない事は、其れが好きで得意な他の人にお願いしている。端的に言えば、其々のスペシャリストでチームを組んでやるという事になる。集団で群れてやるのが足し算なら此れは掛け算で、結果として現れる質と速度は、比べ物に成らない。
2018/12/18 腰痛は酷いが仕事をしなくてはいけない。だから、槌や金箸の持ち方構え方を微調整し、腰に負担の掛からない姿勢を探すのだ。其れでも瞬間的に酷い痛みが走る事は有る。その時は、痛いと感じた瞬間に息を吐き体の力を抜けば、痛みもすぐに治まるのだ。長年腰痛と仲良くしてきたので、扱いはお手の物だ。
2018/12/17 運動が大好きで身体を鍛えたが、強く成る所か壊れただけだった。鍛冶を始めてからも壊れた身体は悪くなるばかりで、満足に仕事が出来なくなった。そこで、鍛えるのではなく身体を上手く使うことを意識し、飛躍的に仕事は楽に成った。人自体も無理に鍛えるよりも上手く使う方が、能力を発揮出来る筈だ。
2018/12/16 取材を受けて何時も感じるのが、正しくない知識を基に取材している事。きっと取材先で見聞した事を鵜呑みにしているのだろう。裏を取り少しでも正確な情報を発信することを心掛けたなら、地域文化の発展に大きく貢献できる筈なのに、とても勿体ない事だ。ビジネスチャンスも其処にある気がするのだが。
2018/12/15 現代人は直ぐに褒めてもらおうと焦り過ぎている。流行に乗り遅れまいと急いでも、直ぐに飽きられる薄っぺらなモノしか出来はしない。優れた作品を残した先達は、生涯を掛けて良いモノを創ろうと臨んだ筈だ。いや、世代を跨ぎ励み続けたであろう。師匠は「急ぐ必要はない」と次世代たる私に言い渡した。
2018/12/14 140文字で毎日コラムを書き続ける事を勧められた時、気楽に始めた。勧めてくれた人を信用したからだが、始める人も続ける人も稀だと聞いた。お蔭で、自分には簡単でも他人には簡単でない事を見つけられ、更に信用するに至った。相手をやる気にさせるのに必要なのは、恫喝ではなく信用だと確信した。
2018/12/13 玄能に新しい価値を見出すことは不可能と同業者に言われた時、好機だと思った。鍛冶技術は科学的に解明されて研究の余地はないと聞いた時には、ほくそ笑んだ。目の前に有る好奇心に満ちた謎解きに、誰も挑戦しようとしないのだ。金儲けばかりに目を奪われ、仕事に楽しさを求めなくなったからだろうか?
2018/12/12 普段考えている事の一寸だけ外側ですら、人は想像することが出来ない。答がすぐ其処に有るのに気付けないのだ。でも其処に何か有るよなって、リアルに予感出来る時は有る。外からの刺激に対する「ありえねーだろ」的な違和感や拒絶感を排除せず、好奇心を持って対峙した時に、何か有るよなって気付く。
2018/12/11 越後のミケランジェロ「石川雲蝶」の作品の様な遺産を町興しに活用するのも良いが、それに負けない新しい価値創りに挑戦する若者が次々と現れる町に出来たなら、どんなに素敵な町になる事か。私は百年後の人に褒めてもらえる作品創りを目指しているが、こんな身の程知らずのバカが増えたら楽しいだろ。
2018/12/10 勝っても負けても気分が悪い。勝てば気分が良いだろうと言う人が居るが、負けた相手が気の毒で成らない。そこで、どうしたら競争せずに済むか考え続けたが、好きで得意に取り組む事で、ライバルを必要とせずに上達出来る事に気付いた。私の好きで得意が甚だ稀有なことも幸いした。変人なのも悪くない。
2018/12/09 穏やかな気持ちで過ごしたいと考え生きて来た。身勝手な周りの人達に流され、荒んだ気持ちに成ることに耐えられなかった。だから、穏やかならざる覚悟で穏やかに過ごせる環境作りをしてきた。すると、同様に生きている仲間が周りに溢れている事に気付いた。壁を越えて初めて見えてくる変態な仲間達が。
2018/12/08 以前、勤めていた会社の社長に、優秀な人材を採用する必要を具申した折に、入社してもらえるだけで有りがたいと思えと言われた。採用を検討している私に両親は、鍛冶屋に就職する奴なんて低学歴の問題児ばかりだと言った。恐らく、その人達にとってはその通りなのだと思う。思考が現実化しているから。
2018/12/07 毎日着実に上達し、新しい価値を創り続け、その残高を増やすようにしている。溜った価値を切り売りしながらも、残高は減らさないという事だ。すると時間的にも精神的にも余裕が出来、更に新しい価値を創り出すための研究開発が出来る。それは新商品開発だったり、求人する為の仕組み作りだったりする。
2018/12/06 玄能作りが楽しくてならない私でも、最初から楽しかった訳ではない。最初の辛い時機さえ乗り越えれば徐々に楽しくなると信じ、楽しんでやる方法を考えつつ、少しでも楽しみながらやり続けたのだ。楽しい事ばかりではない仕事を楽しめる人は、「楽しい」は「楽しむ」から始まる事を知っている人なのさ。
2018/12/05 同業者や協力工場はいつ廃業してもおかしくない状況だ。想定して準備してきたが、予想以上に事態は深刻だ。流通量の減少した鋼材は納品に一か月以上掛かる事も有る。これでは生産体制の見直し程度では納期に対応出来ない。仕事内容を見直すしかなさそうだが、こういう時こそチャンスなのかもしれない。
2018/12/04 もう一人採用すると若手に言ったら、楽しい仕事だから誰でも飛び付く筈だと言った。だが、やれば楽しい事が分るが、未経験者を募集するのだから飛びつきはしない。多くの人は給料や休日数に目が奪われているから、非力な鍛冶屋に勝ち目はない。だから毎日コラムを書き、楽しさを発信し続けているのだ。
2018/12/03 決められたルールの中で競争に勝ち続ければ、金持ちに成れるかもしれないが、勝てる人は一握りだけだ。自ら新しいルールを作り出し、新たな価値を生み出し続ける人は、需要が無くて芽が出ない恐れもあるが、軽やかで伸びやかで自由だ。私は後者を選んだが、今後は益々前者で勝ち続けるのは難しくなる。
2018/12/02 鍛冶仕事も趣味も勉強も、その楽しさの多くは、PDCAの高速回転により得られると思っている。やる度に少しずつ変えてやってみて、結果を次に反映させていく作業は格別だ。その回転のさせ方に十人十色の個性が表れ、色々面白い結果が生まれていく。お手本と違うのが出来て当然で、それが楽しいのだ。
2018/12/01 鍛冶職人と鍛冶屋の違いは、前者が作業者であり後者が経営者である事。そして、其々に求められるスキルが全く違う。事業を継続発展させるには、経営者のスキルが必要なのに、それに気付かずに廃業したのでは勿体ない。幾ら良い物を作れても、作業者のままで居ては、今後ますます続ける事が困難になる。
2018/11/30 負けても大して悔しくないし、勝った所で嬉しくもない。お蔭で、負けた悔しさで人を恨むこともないし、勝って有頂天に成ることもない。そもそも他人と自分を比べる習慣が無いので、腹を立てる事は少ない。勝敗よりも好奇心を成長の糧とする私にとって、競争は何時もの調子を狂わす雑念にしか成らない。
2018/11/29 身体が小さく体力の劣る私は、身体能力ばかり求められる高校の剣道部を止め、スキーを始めた。そこで気付いたのが、体力に頼ると身体感覚が鈍くなるという事。重力を上手く使い体力を補い、感覚を研ぎ澄ますことで上達し易くなる。35歳を過ぎて玄能鍛冶を始められたのも、その気付きが有ったからだ。
2018/11/28 自分なりの高い目標を定めても、成してみれば大したことなくてガッカリする。もっと高い目標を定め、それを成し遂げ、またガッカリする。何処が終着点なのか分からない玄能作りを続けていて、ふと思うことが有る。誰も興味を持たない事でも、やらずにはいられない人が存在し、やり続けているのだなと。
2018/11/27 誰もが直ぐに使いこなせるけれど、高い機能は期待できない道具。使いこなすには時間が掛かるけれど、使いこなせたなら驚きの機能を発揮する道具。前者は、直ぐに使えるように手取り足取り教えたスタッフに似ている。後者は、潜在能力を充分に引き出す為、時間を掛けて慎重に育てたスタッフに似ている。
2018/11/26 スタッフを急がせない様にしている。急がせても技術が伴わなければ早く出来ないし、失敗も誘うだろう。ましてや手を抜くことを覚えれば、上達の望みを完全に失ってしまう。上手く成れば自ずと早く出来る様に成ると信じ、辛抱強く待つことにしている。急がせ過ぎて頓挫を来す人は、とても多い気がする。
2018/11/25 体力の衰えを強く感じる私は、紛れもなく既に老人である。年老いる用意として、40代半ばに後継者を育成する準備を始めたが、採用する迄に5年程度も掛かり、気力体力共にギリギリ間に合った気がする。長寿社会と言っても、自分が健康で長生きできるとは限らないから、早めの準備が肝要だと痛感した。
2018/11/24 新しく挑戦するには多くの事を止めないといけないのに、止める事を悪だと言う人が居る。不向きな事や見込みの無い事を続けるのは大きな損失だと思うが、長続きしない人を駄目な奴だと言う。だが、ドンドン止めてガシガシ挑戦した方が、有意義な人生を送れる筈だ。という訳で、ホームページを改装した。
2018/11/23 無駄な動作をして疲れている人が居た。他人の作業を見て真似ているのだろうが、重要な動作の結果として現れる無意味な動作を重要な動作と勘違いしている様だ。自分の作業を振り返ってみても、後になり無駄と気付き止めた事は多い。結果として現れる現象に目を奪われ、本質を見失うことはよく有る話だ。
2018/11/22 鍛冶仕事で作る物は、火造り痕を少し残す程度に、あっさりと仕上げたいと思う。その為には精度高く火造りをする必要が有るが、それさえ出来れば、火造り痕という履歴を垣間見せることで、物語を語らせることが出来る。形作られた数多な要素と物語との相乗効果は、製作物をより味わい深く見せるはずだ。
2018/11/21 同様に良く切れる刃物の金属組織や硬度を比べれば、皆其々に違っている。刃物の良し悪しが組織や硬度等の僅かな要素で決まるのでなく、数多の要素から決まることが其処から解る。格闘技の達人達が皆同じ身体能力を持つ訳ではなく、各々の持つ其々の得意を組み合わせて強みを発揮しているのと同じ事だ。
2018/11/20 師匠の仕事を見たことが無い。作業を5分程度にまとめたビデオを見ただけだ。師匠からは、他人の仕事や作った物を見てはいけないし、師匠の物ですら見る必要は無いと言われた。だから与えられたヒントだけで、作る物の理想の姿を想像し、それを得る為の作業を組み立てた。お蔭で自分の型を確立できた。
2018/11/19 今ひとつピンと来ない時に、絶妙な例え話をしてくれる人が居る。すると、その事についてだけでなく、同様な理解出来ずにいた事までも、妙に納得出来たりする。ならば理解出来ない時に、他の事に置き換えて考えれば、理解し易くなるかもしれない。例え話を作る訓練は、理解力を高める為に役立ちそうだ。
2018/11/18 手間を掛けた様に見えないモノは、高く売れないと思う。手間を掛けたことは分るが、明らかに努力不足なモノも売れないと思う。手間を掛けた様に見せ掛けているモノも、高く売れ続けないと思う。手間を掛けたことが明らかで、更に其れまでの努力が匂い立ってくる様なモノが、高く売れ続けるのだと思う。
2018/11/17 多くの人は説教ばかりで話を聞いてくれなかった。師匠は否定も肯定もせずに、只々話を聞いてくれた。玄能作りを掘り下げる過程で、起きている事に解釈を加えず受け止めて初めて、次なる一手が見えてくる事を知り、師匠が私を深く知ろうとしてくれていた事にも気付いた。師匠は人に対しても達人だった。
2018/11/16 不思議な事や物を目にした時、若い頃であれば直ぐに分析を始めて、理解出来た時には受け入れ、理解出来ない時には否定していた。今ならば、世の中が答えの無い事で溢れている事が分かるから、不思議を不思議なままに受け止めることが出来る。それを思考停止と言う人も居るが、それは成熟なのだと思う。
2018/11/15 最も胸躍るのは、世の中に無いモノを作りだす事だ。言わばそれは、新たな需要を作り出す事。誰も見たことが無い故に誰も欲しがっておらず、世に出て初めてその存在が知られ、需要が発生するモノ。浩樹印の玄能や折り畳みスコップも、そんな気持ちで作ってきた。だから、毎日ワクワク仕事が出来るのだ。
2018/11/14 子供の頃から工作の失敗を修正するのが嫌いで、直さずに捨てていた。修正後に失敗の痕跡が残るのが嫌だったからと、一刻も早く正しいやり方でやり直したかったからだ。それは玄能作りを始めてからも同じだった。今は若手にも同様にさせているが、このやり方は遠回りに思えるが、上達を早める気がする。
2018/11/13 お客である芸術家の作品を若手に見せ、値段を当てさせたら1万円と言ったので、50万円だと答えたら驚いていた。自分が支払える金額で作る玄能の等級を決めるのではなく、お客が支払える金額で決めないと、需要を見誤ってしまう。又、安くなくては売れないと考えていたら、良い物を作る元気も出ない。
2018/11/12 自分の評価を自分でするのは難しい。過去に地元の鍛冶屋が「世の中に必要とされている実感が持てない」と言って引退した。人気も実力も有る若手で、一番辞めてはいけない人だった。自分を過少評価していたに違いないが、正しく評価して励ましてくれる人を身近に持つことの大切さを痛感させる出来事だ。
2018/11/11 体力の衰えを取り戻そうと走り込み膝を壊し、膝に優しいからと始めた水泳で腰痛を悪化させた。今では体力が年齢と共に落ちる事を受け入れ、身体の使い方で補っているが、却って多くの事が出来る様に成った。衰えつつある事に執着するより、新たなやり方で始めた方が、楽しい未来が待っている気がする。
2018/11/09 若手が体調不良で休んでいる。私にとっては何でもない作業環境でも、彼にとっては過酷な場合が有る様だ。金属の腐食加工で発生するガスや、さび止め塗装に使うシンナー等は、彼にとっては微量でも猛毒になる。早速、換気設備を整えたので、今後は快適に作業出来るだろう。我慢させるより改善が大切だ。
2018/11/08 若い頃は敏感さや繊細さが仇となり、人付き合いで不自由した。鈍く成る様に努力したが、玄能作りではその敏感さや繊細さが大いに活かされ、却って年齢と共に研ぎ澄まされてきた気がする。何かを得れば何かを失うと見切りを付けて、今後は自分の性格を否定することなく、存分に活かして生きていきたい。
2018/11/07 苦手の克服の為に訓練を積み、何とか人並みに出来る様に成った事でも、最近また苦手意識に苛まれている。苦手な宴会も訓練の為と思い出席してきたが、先日出席した際に具合が悪くなり、記憶が鮮明でない。だが、宴会での新たな出会いが人生を豊かにしてくれたと思えば、訓練は無駄でなかった気がする。
2018/11/06 鍛冶の未来を計画しようにも、到達点の見当が付かない。だが、鍛冶仕事は大好きなので、好奇心は人一倍強いつもりだ。だから、向かうべき方向だけでも見当を付けたなら、好奇心のままに準備を始めるのだ。その準備は予期せぬ未来への予習に成る筈だ。好奇心は良き未来を迎える為の最強ツールだと思う。
2018/11/05 有難うと言える様に成ったのは何時からだろうか?以前は照れくさくて言えなかったのに、今では普通に言っている。若しかしたら相手に好かれようと作為的に言っているのか?いや、確かに感謝の気持ちで言っている気がする。何はともあれ、他人に感謝の気持ちを伝えられるのは、とても素敵な事だと思う。
2018/11/04 人を育てるのに褒める事を推奨する人も居るけれど、怒ろうが褒めようが、上達の度合いに大した違いは無いらしい。ただし、怒れば人間関係を悪化させるし、褒める人を胡散臭く感じる人も居る。だからもっと良い方法が有る。それは感謝する事。感謝は相手を前向きにすると共に、人間関係も良好に出来る。
2018/11/03 学生時代、英単語の日本語訳の予習を課されたが、日本語訳の書かれた教師用の虎の巻を入手し、やったふりをしていた。英単語の日本語訳など、スキーの練習にリフトを使わず歩いて登る様なもの。良く考えて上達し易い環境を整えてやらないと、相手のやる気をくじく上に、自らの手間も増やすことに成る。
2018/11/02 高校で死に掛けた私は、卒業して高等職業訓練校に入り、水を得た魚に成った。指導員は出来るだけ教えず、聞いた時だけ簡潔に答えてくれた。出来ない訓練生には丁寧に教え、自発的な訓練生は放って置いてくれた。訓練生の資質を見抜き、柔軟に対応していた。指導員の多くは、民間で働いた経験が有った。
2018/11/01 中学時代は教師が放って置いてくれた。自分のやり方で自由に楽しく勉強でき、成績は一番だった。高校に入ると教師が自分のやり方を押し付けてきた。放って置いてくれと懇願したが無駄で、成績はガタ落ちした。生徒の学びやすい環境を整える事が教師の役目だと思っていたのに、そうではなくて落胆した。
2018/10/31 若手に仕事をさせる際に、私の都合に彼を合わせるのでなく、彼の都合に私が合わせる様にしている。何故なら、彼の資質を最大限且つ最善に引き出すには、彼の作業の流れを止めない事が大切だと思っているから。そうすれば彼は集中でき、私は自分の仕事に専念できる。でも、多くの人がその逆をしている。
2018/10/30 弱みを見せれば直ぐに攻撃される、緊張を強いられた環境で育った。失敗すれば自己責任を押し付けられ、突き放されることが多かった。人を信じず、集団に居ても孤独だった。だが、鍛冶屋を始めてからは親切な人達が周りに集まり始め、凝り固まった心も和らいだ気がする。彼もそうなってくれると嬉しい。
2018/10/29 今夏は若手が体調を崩しとても心配したが、本人が一番苦しんでいた。自分の体調はもう戻らないのではないか?職場を辞めさせられるのではないか?職を転々とし、何時までも自立出来ないのではないか?等と、恐怖していた。そう語る彼を見て、そんな風に思わせてしまった自分と社会を、一寸だけ恨んだ。
2018/10/28 なんとなく出来てしまうと気持ちが悪い。出来る筈が無いと思っていた事が出来てしまうと、混乱してしまう。とはいえ、それはまたとない好機だ。直ぐに立ち止まり、忘れないうちに再現を試みることだ。再現出来なければ、出来るまで試みれば良い。それが、偶然出来てしまった事を生涯の宝にする秘訣だ。
2018/10/27 他人の考え付かない良いやり方や面白いやり方は無いか?なんて、へそ曲りに生きているので、同様な人を見つけると嬉しい。SNSを始めてからはそんな人に巡り合う機会も増え、多くの刺激を貰えている。特に、競争とは無縁の他人のやらない事に挑戦し成功している人と出会うと、俄然勇気が湧いてくる。
2018/10/26 魚を与えずに釣り方を教えろと言うけれど、共に与える事には違いが無い。大切なのは、状況が変わった際に新たな釣り方を考え出せる力を付けさせること。釣り以外でも生きて行ける力を付けさせること。教える事と育てる事の違いを良く考えずに指導すると、教え続けないと何も出来ない人に成ってしまう。
2018/10/25 師匠が弟子の作品を気に入らないからと、目の前で破壊する話を聞いたことが有るが、一寸だけ残酷な気がした。だから、私ではなく弟子に判断を任せ、作品を正式に発売する前に今迄に作り溜めたものを見直し、気に入らないものは廃棄する様に指示した所、ほぼ全て捨ててしまった。少しは成長したらしい。
2018/10/24 子供の頃の未来予測は、50年後には寒冷化と人口爆発の為に食糧不足に陥ると言ったが、はずれた。だから、遠い未来を予測して目標を立てるより、目前の興味深く且つ他人の役に立ちそうな事を探求していくことで、次々と未来の扉が開いていく感覚を大切にするほうが良いと思う。わらしべ長者みたいに。
2018/10/23 若い頃は人を従えるのに暴力が当たり前で、皆が其れで言う事を聞いていた。私はそんな乱暴者には従わなかったので、何時までも怒鳴られ殴られ続けた。そしてそんな彼等を哀れに思った。何故ならば、誰もが本心では彼等に心を許していない事が分かっていたから。彼等が孤立している事を知っていたから。
2018/10/22 若手を採用してから2年経ち、彼も漸く一通りの仕事が出来る様に成った。色々とやらかしてくれたが、私は一度も怒ったことが無い。何故ならば、人が失敗を改める動機として、怒られようが、静かに諭されようが、どちらでも結果に違いは無い事を知っているから。彼には気分よく上達してもらいたいから。
2018/10/21 鍛冶場は鍛冶屋を映す鏡だ。建屋から小さな備品に至るまで、鍛冶屋の哲学を物語っている。鍛冶場の様子を誰に語るでもないが、共感者は集まり始める。その共感者こそ、鍛冶屋自身を写す鏡でも有る。だから、素敵な人を集めたいなら、素敵な鍛冶場である必要が有る。この度、鍛冶場に絵を飾る事にした。
2018/10/20 苦手を悪い事だと決め付け多くの人が克服しようとするけれど、苦手は克服せずに活かした方が良いと思う時も有る。私は人付き合いが苦手だから玄能作りに集中できる訳で、社交的だったなら、また違った人生を歩んでいた筈だ。苦手も得難い個性の一つなので、活かした方が力を発揮出来る事も多いと思う。
2018/10/19 前職の頃、友人の弟が入社してきた。集中力が続かない質なので、社長は彼を辞めさせると言った。私は彼を活かしてやりたいと進言したが、辞めさせられた。彼の兄も似た悩みを抱えており、焼身自殺した。彼も後を追う様に入水自殺した。世の中は人手不足と喧しいが、人を活かし切れていない事が問題だ。
2018/10/18 うちの若手が8月に熱中症で倒れた。数日間仕事を休んだ後、出て来てからも体調が優れず休みがちだった。そこで、1日8時間労働ではなく6時間労働にしたところ、毎日元気に通える様になり、彼はとても喜んでいる。何でもそうだが、直すのではなく活かしてやることが大切なのだと、つくづくと感じた。
2018/10/17 矢鱈と自信有りそうに振る舞う人ほど、却って自信無さそうに見える。真に自信を持つ人は、周囲に惑わされる事無く自然体で生きている為、目立たず、とても穏やかに見える筈だ。また、不思議さ面白さを有りの儘に受け止める繊細な精神を持ち合わせており、楽しそうに、そして謙虚に暮らしていると思う。
2018/10/16 誰かに注意される訳ではないけれど、身の周りは何時でも整理整頓しています。誰にも見られていなくても、一時停止は守るし、横断歩道で待つ人が居れば停車します。誰に言われるでもなく、守ると自分で決めた事を誰も見ていない所でもきちんと守れたなら、一寸くらいは自信を持てそうな気がしています。
2018/10/15 自宅の傍に清流五十嵐川が流れており、学校から帰ると毎日の様に釣りに出かけた。年間を通してウグイやオイカワが、春にはヤマメ、夏にはアユが釣れた。上流にダムが出来、全域に渡り護岸工事が成されドブ川に成り果てたが、今ではブラックバスやナマズが釣れるらしい。昔の虫が騒ぎソワソワしてきた。
2018/10/14 子供の頃に好奇心の赴くままに遊び呆けていたお蔭で、好きや得意が有る程度は分かり、将来やりたい事も大凡見当が付いた。もの作りの職に就きたいと高校の同級生に語った所、進学校を卒業して肉体労働をする奴は馬鹿だと言われた。その彼はやりたい事が分かっていなかったが、後に中学の先生に成った。
2018/10/13 肌寒く成る今節では、少しくらい体調が優れなくても、火床に火を入れその温もりを肌に感じると、俄然力が湧いてきて、揺れる炎を見ていると、心は穏やかに成る。鍛冶屋を始めてここ15年程は病気らしい病気をしていないが、儀式の様に毎日繰り返す作業が、心と身体を健康に保っているのかもしれない。
2018/10/12 所謂「基本の習得」と呼ばれるものの多くは、本質に辿り着く為の手段でしかないのに、基本を身に付けたからと安心したり、固執したりすると、それ以上の上達は見込めない。「褒められる」も同様に、上達途上においての暫定的な評価なのに、其れで出来たと勘違いし有頂天に成っている様では、心許ない。
2018/10/11 魚釣りでは、過去の爆釣時の記憶に取り憑かれて、その釣り方に固執するが故に上達出来ない人が居ます。馬鹿な事を繰り返す人も同様に、過去にその馬鹿な事をして褒められるか、良い思いをした経験が有ります。特に褒められた記憶は鮮明に残り、其れが馬鹿の一つ覚えに繋がり易いので、注意が必要です。
2018/10/10 他人のやる事に文句を付けて悪口を言うのは、突然の雨に腹を立て、天に向って口汚く罵る様なものです。当然ながら雨は上がることなく、余計にずぶ濡れます。雨が降ったら雨宿りをするか、傘を持っていたなら傘を差せばいいだけです。心に余裕のある人なら、雨の風情を楽しむことすら出来るというのに。
2018/10/09 他人のやる事に文句を付けて悪口を言っている奴に言いたい!そんな事をしても、当人は屁とも思わないし改めもしない。詰まらない奴に囚われ腹を立てるだけ損だから、放って置け。他人はどうで有れ、自分がちゃんとしていれば良いだけだよ。あっ、御免なさい。他人のやる事に文句を付けてしまいました。
2018/10/08 人混みが苦手で生きた心地がしません。東京ドームでの野球観戦は、開始前に具合が悪くなり逃げ出しました。皆はよく我慢できるな〜なんて思いましたが、我慢してないですよね。その反対に、孤独な作業は苦になりませんが、耐えられない人も居るのでしょうね。左様に、短所は活かせば長所に進化します。
2018/10/07 暴力少年の過剰な精力を格闘技に向かわせ活躍させるアニメを子供の頃に見た。彼は優秀な指導者に導かれ格闘技を楽しんだだけで、変わろうと意識してはいない。能力や性格は活かし方次第で長所にも短所にもなる。活かす前から短所だと決め付けて差別する人達により、多くの子供達の才能が潰されている。
2018/10/06 人は変われるというけれど、本当か?根暗で引き籠りな性格が嫌で、人の輪に馴染もうと努力したけれど、結局は何も変わらなかった気がする。今は開き直り元来の性格を活かしているけれど、お蔭で充分幸せに活躍出来ています。そもそも、人は変われるって言う奴は何様か?今日、尾崎の歌を聞いて泣いた。
2018/10/05 火色を見ながらの作業を強いられる鍛冶場は意図的に暗くしてある故、事故や怪我を防ぐ為の整理整頓は必須です。整理整頓すれば気持ち良く能率的に作業が出来るので、スタッフは喜び他所に自慢します。(大いに自慢してくれ、頼む!)すると鍛冶屋の評価も上がり、ビジネスや採用がやり易くなる筈です。
2018/10/04 身体の柔軟性は毎日変わるので、その日の調子を掴むことで、怪我や故障を予防します。目の見え方や色の感じ方も毎日違うので、脳内で微調整し、正確な作業を心掛けます。左様に鍛冶仕事は面倒臭いので、微妙な体調変化に気付けるよう、出来るだけ毎日同じ生活パターンを繰り返すように心掛けています。
2018/10/03 一寸出来ただけで有頂天に成り、自分にしか出来ないと勘違いすることも有ります。ですがこの世には、千代鶴是秀が認めた栗原波月の様な本職を凌駕する素人が居たり、極めて短期間で卓越した是秀の息子太郎の様な初心者が居たりします。何処にどんな達人がいるか分からないので、迂闊に自慢出来ません。
2018/10/02 上達には競争相手が必須だと言う人も居るけれど、真っ平御免です。競争することで相手の行動に反射的に反応し、細事に惑わされ自分を見失いかねません。高い目標を持っているのならば、似た様なドングリと競うことなく、憧れの師匠の技や、師匠が追い求めているものを探り続ければ良いと思っています。
2018/10/01 絶滅寸前の玄能鍛冶業界においては、競争相手すらいません。競争が大嫌いな私にとっては理想的ですが、其れで上達が止まるかと言えば、そんな事は有りません。競争などしなくても上達の動機付けは出来ます。それは驚きや面白さを求める好奇心に忠実になる事です。即ち、楽しんでさえいれば上達します。
2018/09/30 時々釣りに行くけれど、上達速度が遅くて嫌に成ります。その点、仕事は毎日やれるので、次々と新しい工夫が出来、気持ち良く上達できるので楽しくてなりません。私にとって好き嫌いを決める一番の基準は、置かれた環境で気持ち良く上達できるか否かなのでしょう。毎日やれるという事はとても大事です。
2018/09/29 自分に出来る事は自分でやり、自分に出来ない事を他人にお願いすれば自由に成れると言った人が居るが、本当か?出来るからと自分でやっている限り、やりたいことが出来ずに不自由する筈。やりたい事で世の中に貢献し、やりたくない事を他人にお願い出来る様に成る事が、自由を手に入れる秘訣だと思う。
2018/09/28 公式が適用できる問題ばかり解かせる授業に辟易し、「こんな事をする為に来たのではない」と言ったら、「学校はそういう所」と先生に言われた。今だってそう。何故そうなるのかを考えながら鍛冶仕事をするから面白いのであり、こうしたらこうなると言われてその通りにやるだけなら、全然面白くない筈。
2018/09/27 優しい人と付き合い、優しさのキャッチボールを繰り返すうちに、自分も優しくなっていく事に気付きました。成りたいと思う理想の人と付き合うだけで、随分と理想に近付けるものなのですね。其れとは反対に、嫌な人と付き合うと嫌な人に成りそうなので、自分の居場所はよく吟味する必要が有るでしょう。
2018/09/26 優しくなくては人を雇う資格が無いと勝手に思い込んでいた私は、人を雇うに当り、優しい人と積極的に関わり、優しく成る秘訣を学ぼうと努めた。すると、気付いたら周りは優しい人で溢れ、優しくすると優しくされる事に気付き、優しくされると優しく成れる事にも気付き、一寸だけ優しく成れた気がする。
2018/09/25 挫折したことの無い呑気な人は、他人も自分と大差ない人生を送っていると考え、弱者に対して無神経に振る舞う。そんな人でも、挫折することで人の痛みを知り、平気そうに見える人ですら何かしらの不安や苦悩を抱えて生きている事に気付き、他人に優しく成れる。優しく成ると世の中が違って見え始める。
2018/09/24 仕事の出来る喜びは格別だ。その仕事が好きで得意であれば尚更である。その喜びを多くの人に経験してもらいたいが、一度就職してしまうと他の仕事を経験するのは難しい。だから、好きで得意に巡り合う機会は稀である。半日ずつ異なる職場で働くことが許される社会に成れば、その機会も増える事だろう。
2018/09/23 人の役に立てていると思えるだけで人は幸せを感じると思うけれど、仕事をすれば感謝と共に報酬まで貰え、この二重の喜びは他に代えがたい。だから事情が有り仕事が出来ない人の中には、無念を感じている人が少なくないと思うから、そんな人達も活躍出来る仕組みが出来たなら、人手不足は解消しそうだ。
2018/09/22 仕事って素敵です。上達する喜びが得られるうえに、人の役に立ち感謝され、お金まで貰えるのですから。そしてそのお金を使うことで更に良い仕事が出来、更に感謝され、更にお金が貰えます。お金を使えば、それを受け取った人も喜びます。仕事って、関わる皆が喜び幸せに成れる、素晴らしい仕組みです。
2018/09/20 レッドオーシャンは大嫌いと言う人も、スポーツは好きだったりします。でも、スポーツはレッドオーシャンの典型ですよね。細かなルールに縛られ工夫の余地も少なく、故に特別な資質を持つマッチョのみが活躍できる、熾烈な競争が繰り広げられる世界。結局、大多数はレッドオーシャンが大好きなのです。
2018/09/19 身体を動かすことは大好きですが、スポーツは苦手です。ルールが細かすぎて息苦しいからです。手を使っちゃダメとか足を使っちゃダメとか、もうそれだけで萎えます。各自の裁量に任せ、もっと自由にしちゃえば良いのにと思います。仕事だったら自由度が高い方が、遣り甲斐も成果も高く成りますからね。
2018/09/18 同様に火造りしても、出来上がりは微妙に異なります。火造り肌を削り取れば分らなくなりますが、削り代を出来るだけ抑え、火造り肌を少し残します。すると形状や寸法は同一で有りながら、微妙に残った火造り肌が、其々に違う良い味を醸し出します。上達とはある意味、粗を味に昇華させる作業だと思う。
2018/09/17 他人に指図されるのが嫌なので、言われる前に自分のやり方で始めます。休日は自分で決め、休みたい時に休みます。流されるのが嫌なので、人混みには行かず、行列にも並びません。子供の頃からそんな風だったので、何をやっても相田浩樹流に成ります。ですから、自分探しをする必要は有りませんでした。
2018/09/16 子供の頃はガキ大将に、社会に出れば先輩に怒鳴られたり殴られたりしましたが、世の中が大らかで、やりたいことは自由に出来ていた気がします。今では虐めやパワハラの加害者は糾弾されますが、其れで問題が解決するとは思えない上に、何時でも誰かのスマホで監視されている様で、息苦しさを感じます。
2018/09/15 指示されたことをやらずに逃げ出したり、出来なくてふて腐れたりするのは、多くの場合、やる気が無いからではなく、不安で前に進めないからだと思います。不安な時に頑張れと言われても、何も出来ません。師匠は「頑張れ」とか「負けるな」とか言わず、ただ「焦る必要は有りません」とだけ言いました。
2018/09/13 我々の世代は怒鳴られたり殴られたりして育ちましたが、その反省からか、最近では褒めて伸ばす方法が推奨されています。なんだか両極端ですよね。私の師匠は極端には褒めず、失敗しても怒鳴らず、ただ私の話を聞き心に寄り添ってくれました。あんなに絶妙な間合いで接してくれた人は、多くは居ません。
2018/09/12 舐められない為に頑張っている親方に会いました。威厳のありそうな態度で振る舞い、弟子が失敗した時や出来ない時には、震え上がるくらいに怒鳴るそうで、お蔭で舐められずに済んでいると胸を張りました。地元を上げ若手職人を育てたいと本気で思うなら、先に親方に勉強してもらう必要が有りそうです。
2018/09/11 毎日楽しく玄能を作っているけれど、最初の頃は上手く出来ずに、大きな不安を抱いていた。でも、挫折しなかった。師匠に会い、楽しそうに話す様子を見ると、不安が和らぎ出来る気がしてくるから。良い師匠とは、そんな気持ちにさせてくれる師匠だ。出来ない時には、安心させてやることこそ大切なのだ。
2018/09/10 上手く出来たやり方を繰り返しても上達しません。上手く出来たと思っても、やり方を変え続ける必要が有ります。前より悪くなる事も有りますが、其処から次なる一手が見え、引出しも増え、変えることに対する恐怖感も消え、更にやり方を変えてみたくなる筈です。すると漸く、上達の歯車が回り始めます。
2018/09/09 玄能は単純な形だけに、出来上がりの均衡の狂いが目立ち、それは見た目を悪くするばかりでなく、使い勝手にも大きな影響を与えます。また、使用者による狂いの修正は難しいため、出来た時点で、玄能はその良否が決定しています。それを意識して精度高く造ると、控えめで落ち着いた形状に仕上がります。
2018/09/08 ふくよかな優しい形状を目指します。エッジを効かせても、鋭く危険に見える事を避け、エッジの流れを優しく見える様に工夫します。師匠が「玄能は痩せて見えてはいけない」と言った時に、私は女性の体を連想し、それを造形に取り入れてみました。ですから私の玄能は、ちょっぴり女性的に見えるのです。
2018/09/07 先代の積み上げてきた苦労も知らずに、安易に工場に他人を入れ、作業の様子を見せる後継者がいます。先代の作業の難しさや勘所に気付くだけの感性が欠落しているのでしょう。当人には1にしか見えなくても、感性の鋭い人には100にも見え、工場の外に居てさえ多くの情報を得、簡単に真似ちゃいます。
2018/09/06 使ったことの無いヤスリは、使いこなす迄に時間が掛かります。理由は、ヤスリにより勘所が異なる為と、新しい内は刃の引っ掛りが強すぎ、滑らかに削り難いからです。ですから最初はじっくりと時間を掛け、そのヤスリに付き合うことが肝心です。最初の一寸した辛抱が、その後の良好な関係を生むのです。
2018/09/05 昔使って駄目だと思い放って置いたヤスリを改めて使ってみた所、良く切れる優秀なヤスリでした。当時の未熟な私では、それを使いこなせなかったのでしょう。左様に、駄目と決めつけていた事でも、自分の成長と共に、その本質が見えてくることがあります。軽々しく物事や人の評価は出来ないものですね。
2018/09/04 使うヤスリを変えると、ヤスリ目が変わり、玄能の雰囲気は大きく変わります。同じヤスリを使っても、技能の巧拙及び使い方で、雰囲気は大きく異なります。同じ人が同じヤスリを同じ様に使っても、玄能の形状や大きさにより、雰囲気は大きく変化します。ヤスリ一つでこれだけ鍛冶仕事は楽しめるのです。
2018/09/03 私は多趣味で、色々やってきました。どれも素質が無くて上手く成りませんでしたが、とても楽しく続けられました。ところで倅が子供の頃、楽しく通っていたテニスクラブのコーチに、素質が無いから止めろと言われました。やりたいと思えることこそ一番の素質なのに、そのコーチは何も分かっていません。
2018/09/02 パワハラやセクハラ問題で喧しいですが、金の力や権力で思うままに出来た時代が変わってきたのかもしれません。では、金や権力に代わる新しい価値は何なのでしょうか?きっと、人を押さえつける力ではなく開放する力であり、既存のルールの中での勝敗や優劣から人を解放する力の価値なのだと思います。
2018/09/01 クレーンゲームで景品を手に入れた人を見て嬉しくなりました。魚釣りで大物を釣り上げた人を見て喜んでしまいました。それは何時からなのでしょう?以前ならば「落とせ」とか「ばらせ」なんて思ったものですから。他人の幸せを自分の幸せの様に感じられるのはひねた私にとっては大事件かも知れません。
2018/08/31 身体と相談しながら無理をしない様に仕事をします。筋力など付けなくても、足りない力を補う工夫をすれば、無理なく出来る筈です。普段から出来る工夫は、作業を楽にする道具の準備や作業環境の整備、そして外部の協力者の確保です。最善の工夫は、若手を採用して育成し、仕事を任せる事だと思います。
2018/08/30 倅が小さかった頃にお手伝いを頼んだところ、褒めてくれと言います。お手伝いをしたら褒めてやると言ったら、やる前に褒めろと言うのです。学校ではそうしていると言われ、先生も罪な事をしたものだと呆れ返りました。褒められないとやらない様な子供を大量生産して、国を滅ぼすつもりなのでしょうか?
2018/08/29 体中の彼方此方が痛くて若い頃の様にはいきませんが、玄能の生産量は増えています。それは体の使い方が上手く成ったからと、失敗しなくなったから。秘訣は、衰えた体を鍛えるのではなく、現状の体を最大限且つ最善に活かす方法を見つけること。老いを否定するのではなく、受け入れて改めることが大事。
2018/08/28 若い頃に表彰され、考えさせられました。まだ何者にも成っていない若者を褒めた所で、調子に乗り道を踏み外すだけです。褒めるのはその道で生きて行く覚悟が出来てからで充分で、そんな覚悟の出来る人なら、褒めずとも勝手に伸びていきます。若い頃には、人知れず自分を磨いていた方が良いと思います。
2018/08/27 一生懸命やってはいても、所詮は先達から継承したものの上に、調子よく乗っかっているだけです。やっている事の殆どが誰かの亜流で、独創なんて何も有りません。ですが、何を作っても浩樹っぽく出来てしまいます。自分にとっての普通を突き詰めているだけなのに、変わったものが出来るから不思議です。
2018/08/26 理想的な仕上りを目指す為に、様々なヤスリを試しています。ヤスリによって、最大限に性能を引き出すための使い方が微妙に異なり、それを探るのも面白いもので、予期せぬ新しい発見も出来ます。道具立てを少し変えるだけで、作業効率の改善と共に其れまでと違う経験も出来、技能は飛躍的に向上します。
2018/08/25 例えば、使う道具を変えるだけで、出来が見違えたり、作業時間を短縮できたりします。即ち、教えられた通りにやり続けても進歩は僅かです。なのに、多くの人が最初のやり方に固執し、他の方法を試しません。上達は、上手く出来た事に習熟するのではなく、やり方を変え続けることで得られるというのに。
2018/08/24 年老いて自動車免許を返納しても、公共交通機関を駆使したり、家族や知人に乗せてもらったりして、其れまでと大して変わらない生活が出来る人は居ます。その反面、同じ環境に居ても其れが叶わない人が居ます。出来た事が出来なくなった時に、その人がどんな風に生きて来たかが、問われるってことです。
2018/08/23 星新一の「ボッコちゃん」の様な出来損ないロボットの意味の無い片言にさえ深い意味を見出してしまう人間は、素晴らしいけれど、早とちりだとも思う。ならば、自分を良く見せたいなら、全てをさらけ出さず少し謎めかせた方が、相手の想像力を刺激し、実像よりも奥深い印象を与えることが出来そうです。
2018/08/22 競争に勝つことを最優先する価値観では、虐めや戦争は無くならないと思います。敗者の不幸の上に成り立つ幸せを求めている限り、思いやりの心は育ちにくい気がするからです。でも、相手に勝つことで自分も相手も幸せに成れる方法が有るなら、虐めも戦争も無くなるし、お金に執着も無くなる気がします。
2018/08/21 やる事成す事批判されますが、非が無ければ全く気に留めません。何故そんなに平気で居られるのか不思議でしたが、行き付けのバーのマスターに教えられました。その理由は、孤独になる事を恐れていないからだそうです。確かに、子供の頃に虐められて仲間外れにされても、全く気になりませんでしたから。
2018/08/20 自分を他人と比べなければ、穏やかに暮らせる筈です。自分を掘り下げて新しい発見が出来れば、それで満足するでしょう。群れたがる人達の様に周りが気になることもなく、孤独も苦に成らず、虐めも少なくなりそうです。ですが、そんな人達が多数に成ったら、オリンピックとかは無くなるかもしれません。
2018/08/19 子供の頃の勉強不足は一寸頑張れば取り返せます。青年時代の能力不足は死に物狂いで頑張れば取り返せます。ですが、中年以降に取り返すのはほぼ無理なので、今よりも平均寿命が延びれば、能力差は開くばかりです。近年は気配り出来ない乱暴な老人が増えたけれど、平均寿命が延びたせいかもしれません。
2018/08/17 威張って周りを威嚇する人は、無能に見えて笑えます。実力と人望が有れば周りは喜んで協力してくれるのに、誰も言うことを聞かないので癇癪を起しているのでしょう。頭を下げてお願いすればいいだけなのに、それが出来ずに喚き散らします。注意しても理解出来ないので、放って置かれて孤独を深めます。
2018/08/16 激しい競争の末に勝ち残った事業所でさえ、同業他社が減り全体のパイが縮小すれば、材料及び燃料の確保や廃棄物の処理に関わる費用は割高に成ります。業界も絶滅危惧種と同様に、ある個体数以下に成ると急激に絶滅に向うので、強い企業こそ新しい価値の創造で、パイを大きくしてもらいたいと思います。
2018/08/15 職人を採用してから約2年経ちます。彼が一通り仕事を覚えたら、もう一人の採用を考えています。今度は彼を新人の教育係に当てるつもりで、その仕組み作りをしています。人を育てるのはとても楽しいのですが、未だ分からない事だらけです。もっと勉強したいのに、鍛冶屋に同志がいないのは寂しいです。
2018/08/14 鍛冶文化の発展に欠かせないのが、職人の育成とそれを担う鍛冶屋の意識改革です。人手不足だと言いつつ鍛冶屋が職人を採用出来ていない理由は、昔ながらのやり方に固執し、時代に合った採用の仕方や育て方が分っていないからです。事業を継続する為の技術・知識・手法を早急に学び直す必要が有ります。
2018/08/13 若い頃に社会人の成長を促す為に書かれた書籍を好んで読みました。実践すれば効果が表れるので夢中に成りましたが、ある時に気付いたのです。此れって権力者の思う壺じゃんと。読者を扱い易い人間に変える、権力者に都合の良い洗脳ツールじゃね?人は何かを手に入れると、何かを手放すことに成ります。
2018/08/12 短期的に考えれば体力任せで出来ますが、長く続けようとすれば、コツでやることになります。そこで、体力をつける訓練ではなく、体力を使わずに出来る方法を考え続けると共に、楽しく出来る快適な環境づくりにも力を入れました。体力気力共に、頑張らないことが長く続ける秘訣だと思っているからです。
2018/08/11 頑張る子供を多くの大人は褒めますが、止めちゃってもいいのにと私は思います。目の前の事に固執するあまり、選択肢を減らして苦しんでいるだけに見えるからです。頑張ることで一生懸命やっている満足感は得られるけれど、ある程度やったら見切りを付け、他の事に挑戦してみる方が良いと思っています。
2018/08/10 もの作りの心得として、過剰は過少よりも厄介と言われます。細部に手間を掛け過ぎると元が取れなくなるからですが、長く売り続けるには、手間を掛け過ぎるくらいで丁度良いと思っています。コスパが良くて売りやすいし、おまけに確実に上達します。そもそも長く売れ続ければ経費は浮き、元が取れます。
2018/08/09 付き合う人を変えたことが幾度かあります。特に大きく変えたのが、師匠に弟子入りした頃で、其れまでの広く浅い付き合いから、新たな人との狭く深い付き合いに変わりました。彼等は一度会えば後戻りできない程に魅力的であり、好奇心をくすぐります。付き合う人が変わり、世界の見え方が変わりました。
2018/08/08 流行を追いかけません。流行を追いかけても、お付き合いできる人の質は変わらないと思うからです。長く続けられそうな大好きな事に腰を据えて取り組み、他に秀でる事によって、今まで以上に見識の高い良質な人とお付き合い出来る様になると思います。そう成れれば、全てが変わり始めると信じています。
2018/08/07 スポーツの様に優劣で勝敗を決めるのが大嫌いで、腰が引けてしまいます。政治や宗教の話はもっての外で、噂話や悪口なんかも苦手なのでテレビも見ません。好みは時の運で勝敗が決まるビンゴゲームや、罪の無いう〇この話です。最近は自分の性癖を認めてもらいたい人で溢れているけれど、私は結構です。
2018/08/06 様々な形の玄能金槌が有りますが、多くは何かの変形や組み合わせで出来ています。八角玄能の角を丸めれば四角玄能に成り、更に丸めれば丸玄能に成ります。八角玄能と四角玄能を組み合わせれば一文字玄能に成り、更に丸玄能を組み合わせれば丸定型に成ります。造形のヒントは既に準備されている訳です。
2018/08/05 特別に上手い人と単に上手い人は、超絶的にかけ離れています。素人が見て判断出来なくても、目利きが見れば雲泥の差です。その差は、大好きで四六時中考えずにいられない程のめり込めて居るかどうかの違いで、時が経つにつれ格差は開くばかりです。嫌いでも頑張れば何とかなるなんてことは有りません。
2018/08/04 自分に出来ている事などは洗練からかけ離れており、所詮はリカバリーの集大成のように感じます。もっと際立つ洗練が有る筈なのに、まるで見えません。既に目の前に準備されている筈なのに、気付けません。仕事が大好きな私ですらこうですから、嫌いな人なら、生涯掛けても絶対に辿り着けない領域です。
2018/08/03 過去にこだわりません。過去を懐かしがりません。何故なら今が一番楽しいからです。子供の頃からずっとそうですが、今日よりも明日をもっと楽しくする為に、歯を食いしばって生きてきたのです。お蔭で奥歯はガタガタになり、硬い物が噛めません。そこで明日を楽しくする為に、歯医者に通い始めました。
2018/08/02 一寸した事でも容赦せずに改善します。今回は冷えた井戸水をポンプで中古のラジエターに通し、扇風機の前に取り付けてみました。遊びの様な改善ですが、毎日続けていると作業環境は激変します。分りやすい改善やその改善作業自体は社風の改善にも繋がり、何よりも、やっていて楽しいのでお勧めします。
2018/08/01 鍛冶場は40度近くに成りますが、至って平気です。鍛冶場の2階に有った子供の頃の私の部屋は、夏には40℃以上に成ったので、慣れています。本日も気分よく仕事を終え、帰りにホームセンターに寄った所、冷房の効きすぎで具合が悪くなりました。鍛えられたが故に弱点に成ってしまった残念な例です。
2018/07/31 人に指図されるのが嫌いで集団行動が出来ません。罪悪感を持ち続けましたが、37歳の時に新田次郎の「孤高の人」を読み、罪悪感を無くしました。一人で出来ない事でも仲間とやれば上手くいくと言うけれど、覚悟が有れば一人でも出来るし、覚悟が無ければ、どんなに群れても何も出来ないのも事実です。
2018/07/30 勤めていた時には社長の悪口を言い続け、起業して社長に成ったら従業員の悪口を言っている人から、従業員が辞めたと愚痴られました。とてもよく面倒を見ていたのに裏切られたと言いましたが、他人のせいにしているうちは、同じ失敗を何度でも繰り返します。他人事ではないので気を引き締め直しました。
2018/07/29 目立ちたがり屋の集団は、皆が自己主張を繰り返すだけで他人の話を聞こうとしない。だから、皆の声が大きくなるばかりで、誰一人目立たず、不毛な時間が過ぎていく。師匠は自分の宣伝を自分でしてはいけないといったけれど、目立ちたいなら、どうしたら人の役に立てるかを考える必要が有るということ。
2018/07/28 させてもらい活かされているという感謝の気持ちで能動的に行えば、今よりももっと興味深い発見が有り、楽しく愉快に出来る筈なのに、多くの人がさせられているとか、してやっているという受動的な意識に陥り、自ら気分を悪くしてしまいます。同じ事をするにしても、能動的に行えば気分良く出来るのに。
2018/07/27 玄能作りは日々精度を上げて行く喜びが大きいのです。使用者の使い勝手を考慮し、少しずつ工夫していく挑戦は格別なのです。完成形というものが無く、幾らでも進化させられる可能性は大きな魅力です。こんなに自由を満喫できる筈なのに、嫌々やっている人には、この自由が混乱を招く厄介者になります。
2018/07/26 師匠の言い付けを守り「人真似をしない」と「真っ直ぐに作る」を心掛けていたら、何を作っても自分らしい形に仕上がるようになりました。即ち、既存のどんな玄能でも、私らしく作ることで、今迄に無い新商品が生まれます。亡くなってから10年以上経ちますが、未だに師匠の掌で転がされている様です。
2018/07/25 学生の頃に、優等生は先生の話を鵜呑みにして思考停止し、ヤンキーは先生の話を反射的に否定して思考停止しているように見えた。その反面、自分の頭で考えて行動出来る生徒は、先生の話は適当に聞き、淡々と好きな事に取り組んでいた。この三者の違いは、身近にいる大人との関わり方で生まれると思う。
2018/07/24 35歳を過ぎて鍛冶屋を始めましたが、困る事は有りません。子供の頃から妙なモノを沢山作ってきたので、作業手順を構築する能力は備わっていた様です。ところで、職人を始めるのに16歳では遅いと言うのは、作業手順を構築する能力を身に付けるのに、16歳では遅すぎるということなのだと思います。
2018/07/23 焼入れの際に鋼を熱していくと、温度の上昇が急に緩やかに成る地点が有ります。結晶構造の変化に熱が使われているからで、こうなると焼入れ適正温度の一寸手前だと分かります。やがて温度が上昇し始めたら其処が焼入れ適正温度です。温度計を使わずに火色を見て判断しますが、科学的裏付けが有ります。
2018/07/22 子供の頃から突飛な事ばかりしていました。最初は誰も相手にしませんが、面白そうだと分かると皆がやり始めます。すると仕切りたがる人が出てきて、下らないルールを作り、詰まらなくしてしまいます。そんな人は、今やっている事がルールに縛られない自由な発想の元で生まれた事実を理解していません。
2018/07/21 小学生の頃、父と小船で海釣りをしていました。船酔したので帰りたいと言ったら、泳いで帰れと言われたので泳ぎ始めましたが、何時までも岸に近付けず死ぬかと思いました。漸く岸にたどり着いた時には岸は騒然です。遥か沖から小さな子供が泳いできたのですから当然ですが、滅多にない良い経験でした。
2018/07/20 人を雇う為の準備に5年以上費やしました。先ずは未経験者でも出来る仕事の手配や作業環境の整備、そして一番大切だったのが、求職者に見つけてもらう為の仕組み作りです。そこで、私を好きに成ってくれそうなたった一人の誰かに向けて、ブログではメッセージを、SNSではコラムを書き続けたのです。
2018/07/19 売れているものを真似て作り始めては競争し、もっと売れる様にとPRで競争し、物語が必要だと言われれば大衆受けする物語を作る競争をし、現在ではそれも飽きられ、今度は何で競争するのでしょうか。今売れているものではなく、これから売れるものを考えない限り、何時までも競争するしかありません。
2018/07/18 30代に大病で動けなくなった経験が有る私は、毎日を大切に生きることに決めました。嫌いな事は断り、好きな事に集中して得意に成り、その分野で出来る限り長く活躍し、社会に貢献したいと考えました。闘病中は大量に読書が出来、人生を振り返る時間も持てたので、あの時期に大病したのは幸運でした。
2018/07/17 酷暑の中での鍛冶仕事も楽しいものです。猛烈に吹き出した汗が気化熱を奪うので、意外と涼しく感じます。私は鍛冶仕事が大好きなのでこんな風ですが、嫌いな人には地獄でしょう。好きなら天国、嫌いは地獄なので、酷暑ですら気にならない程に夢中に成れる仕事で幸運だったと、胸を撫で下ろしています。
2018/07/16 学生時代に勉強やスポーツで褒められたり表彰されたりするのが嫌いでした。どうでも良い事に優劣を付けて騒ぎ立てる大人を冷めた目で見ていました。褒めて夢中にさせておけば手が掛からずに済むという魂胆なのでしょうが、競争を強いられた子供達は、競争以外の価値観や可能性に目を向けなくなります。
2018/07/15 上達する人は上手く出来た時にも安心せず、もっと良い結果を得られる別の方法が無いか探ります。するとそれは予行演習となり、他人の何倍もの経験を積むことに成ります。上達しない人は最初に出来た稚拙なやり方に固執し、新しい事をやろうとしません。前者と後者の人生の密度の差は歴然としています。
2018/07/14 長谷川幸三郎さんからは、商品を売り込んではいけないと言われました。土田昇さんからは、求人の際には此方から声を掛けてはいけないと言われました。安田佳生さんからは、集客も求人も理想とするたった一人を想定して対応しろと言われました。私にはその全てが繋がって見え、目の前の靄が晴れました。
2018/07/13 良い物を作れば売れると思ったら大間違いだと忠告されました。良い物を作ろうとすると手間ばかり掛かり儲からないとも言われました。そこで真偽を確かめるべく、良いものを作ってみたのです。その結果、言われたことは本当でした。でもね、良い物が出来てしまえば、その後の展開は遥かに楽に成ります。
2018/07/12 求人の際には此方から声を掛けてはいけないと忠告されていました。向うから見つけてもらう必要が有る訳です。ですが、給料も休日も一寸しかやれない貧乏な鍛冶屋の私は、途方に暮れてしまいました。そこで相談したのが境目研究家の安田佳生氏です。なんと無料でヒントを頂き、良い人を採用出来ました。
2018/07/11 手取り足取り教える事は有りません。指示を出したら放っておきます。感謝はしても、褒める事は有りません。其れで充分仕事を覚えてくれます。狭い工場の中に一緒にいれば、否応なく私の作業が見え、また見えずとも音が聞こえ、自然に無理なく吸収出来ます。彼は子供の頃からそんな風に育ったそうです。
2018/07/10 自分にどんな才能が有るかなんて、経験の少ない若い頃に解る訳がありません。好きか嫌いか得意か不得意かだって、少しやっただけでは良く分かりません。私だって鍛冶屋に向いているとは思っていませんでしたが、成り行きで始めたら、その没頭している姿を見て、周りが先に私の才能に気付いた感じです。
2018/07/09 夏の鍛冶仕事は暑いです。飛び散る灼熱の酸化膜が汗をかいた皮膚に張り付き、火傷して痛いです。でもね、暑いとも痛いとも口に出しては言いません。だって、当たり前だもの。辛い事は口に出さないと病気に成ると言うけれど、一寸位の辛さなら、口に出さない方が当たり前になり、気にならなくなります。
2018/07/08 上達に競争は必須だと言うけれど、本当なの?競争なんてしてないけれど、私は上達しています。競争している人を見ると、もっと大きな視野でモノを見れば、他分野からも多くを学べる筈なのに、自分の周りだけを気にして小さく纏まっている様です。他人に勝つのではなく、今迄の自分に勝てれば結構です。
2018/07/07 競争が嫌いだと言うと意気地なしと言われますが、競争しないのはとても意気地が要るのです。競争好きは既存のルールに則れば良いだけなので、失敗は少ないけれど、競争嫌いは自分でルールを作るしかなく、大失敗の可能性すらあります。でもね、自分の作ったルールで生きるのって、とても自由なのです。
2018/07/06 誘いを断ることが多いので、ネガティブだと非難されます。ですが、35歳までは誘われるままに色々と挑戦してみました。その結果、自分のやりたいことが明確になり、自分に向かない誘いを断る勇気を手に入れたのです。そもそも、他人をネガティブだと非難するような人は、我儘なだけだと思っています。
2018/07/05 信頼できるお客様からの難しい注文は、私を進化させる挑戦状として受け取ります。自信が有るからではなく、負けたくないからでもなく、ただ強い好奇心から引き受けます。その好奇心の源泉は、玄能作りが大好きだということで、もっと大好きに成ったらどんなことが起こるのか、ワクワクしてしまいます。
2018/07/04 自分でも信じられないくらいに、能力の限界を超えた仕事が出来ています。そもそも、35歳を過ぎて鍛冶屋を始めたので、身体が出来ていません。師匠に教えを受けたとはいえ、何時でも手探り状態です。ですが出来ちゃうんですよ、大好きだから。朝起きて体調が悪くても、仕事に向うと力が湧いてきます。
2018/07/03 必要なモノをある程度は所有し尽くした時代にあって、モノは売れないのかといったら、売れると思います。私の玄能を必要に迫られて購入する人は稀で、多くは単に欲しいからとか、使ってみたいからといった人達でしょう。今後は必要なモノだけで無く、単に欲しいと思われるモノが売れる時代に成ります。
2018/07/02 子供の頃からの難聴が悪化して、人混みでは会話が聞き取り難くて大変です。特に宴会などの騒々しい場所での会話は、聞き返して嫌な思いをさせないかと考え緊張します。何時の間にか大声で話している自分に気付き、恥ずかしい思いもします。玄能鍛冶は会話をせずに仕事が出来るので、本当に助かります。
2018/07/01 仮説を立てて検証することが大好きな私は、仕事が好きですが釣りも好き。先ずは、その日の釣れる体系を探り当てるのが第一で、釣れている状況を長続きさせるのも大事。でももっと大事なのが、釣れている時に同じやり方を続けずに色々と試してみる事。釣れているからこそ、釣れそうもない事を試す好機。
2018/06/30 名工と呼ばれる人達の暗黙知は膨大なのに、それが世間に知らされることは稀です。職人の矜持なのか照れなのか、仕事を当たり前にこなす故に、さして特別ではないと思っているのか、勿体ない話です。私は名工ではないけれど、毎日の気付きを日記に記すことで、誰かの役に立てたらいいなと思っています。
2018/06/29 同じものを作る場合でも、昨日よりも今日は良いものを作ります。来る日も来る日も同様に、良いものを作るようにします。すると益々腕が良くなり、益々人気者に成ります。ですが工業製品では、昨日も今日も明日も同じ品質のものを作らなくてはいけません。其処が工芸品と工業製品の一番の違いだと思う。
2018/06/28 新しい価値を作れる人にも2通りあると思います。1つは、今迄に存在しなかったものを作りだす人。もう1つは、当たり前すぎて見逃されてきたものに、違った解釈で日の目を当てる人。前者はとても難しそうですが、後者なら訓練で成れそうです。きっと目の前には価値の種がゴロゴロしている筈ですから。
2018/06/27 単なる道具である玄能を、師匠が名品にまで昇華させ人気を博したのは、大工道具の需要が激減した昭和30年代以降です。私が玄能鍛冶で食えているのも、師匠が玄能鍛冶の地位を上げてくれたお蔭です。衰退の一途を辿る瀕死の産業は多いけれど、もっと新しい価値を生み出せるかもしれないってことです。
2018/06/26 採用した若手の面倒を見る暇が無いとぼやく親方が居ますが、自分が新人の頃は、放って置かれても出来る程度の簡単な仕事から始めた筈です。今はそんな簡単な仕事が少ない為、最初から丁寧に教える必要に迫られる訳なので、採用する前から簡単に出来る仕事や仕組みを準備しておけば、解決出来た筈です。
2018/06/25 数年前の手帳に書いた目標を見返すと、全て達成されていました。ですが、達成された喜びも無ければ、生活に変化も有りません。きっと些細な目標だったのでしょうが、当時の私にとっては大きな目標だったと思うと、情けなくなります。まあそんな風ですから、何時まで経ってもハナタレ爺ということです。
2018/06/24 毛筆が必需品から贅沢品に進化したように、しぶとく生き残るものが有ります。明らかに現代の必需品ではないのに、何故残れたのか。それは背景に濃密な文化が有り、それを大切に思う人が居たから。私が玄能を作り続ける理由も、先達の築き上げてきた濃密な文化が大好きで、それを大切に思っているから。
2018/06/23 手垢まみれに見えるものでも手付かずの部分は有るもので、それを見つけたならば好機です。深く考察すれば、意外な大発見が有るものです。例えば、多くの人が木柄を入れる穴としか考えない玄能のヒツ穴を深く考察すれば、その縦横比・大きさ・精度が、玄能の性能を決める大切な要素だと気付くはずです。
2018/06/22 これからの時代に生き残る鍛冶屋は、作品が時代の要請に合い高品質であることは勿論、哲学・技能・美意識などを物語として語る必要が有る。それらを体系的にまとめ独自の世界観を創り上げ、情報を発信し続ける事で、商品が売れるだけでなく、有益な情報も集まり、さらには人材採用も容易に成るだろう。
2018/06/21 相手のことを本当に思うなら、答えを教えたりしないと思う。矢鱈と褒めたり必死に応援したりするのも同じ。相手のことよりも、自分が何かを得たいが為にやっている気がする。世の中で良いとされ推奨されている事の中には、単に自分の欲望を満たす為の策略を体裁よく美化させているものが多い気がする。
2018/06/20 三条市には日本のミケランジェロと言われる石川雲蝶の作品が残っていますが、あんな物を彫ってみたいと思う人が地元から出ないのは残念です。私なんかは、師匠に会った途端に一目惚れして、玄能作りに邁進してしまいましたから。私みたいな変態がもう一寸増えてくれないと、肩身が狭くてたまりません。
2018/06/19 乞われて助言しても、それを実行に移す人は稀です。実行に移しても、上手く出来ずに簡単に諦めてしまう人が殆どです。稀に、実行に移して進捗を知らせてくる人が居るけれど、そんな人の多くは確実に成長して行きます。そもそも、そんな人は希少且つ貴重であり、周りが支援したくなるのは当然なのです。
2018/06/18 何気ない日常から如何に多くの不思議さ面白さを発見できるかで、人生の豊かさは決まると思います。自分にとってより多くの不思議さ面白さを発見できるものが何かを考えれば、好きな事に取り組むことに決まっています。ならば、好きな事をやるのが人生を豊かにする一番の近道であることが決定しました。
2018/06/17 金属組織や硬度を基準として均質化を目指した鍛冶屋は、工業生産的に仕事を変化させていきました。お蔭で出来の悪い物は少なくなったけれど、特別に良い物を作る気概を持つ職人を減少させました。効率だけを追求する工業生産的な考え方は、製品だけでなく、携わる職人さえも均質化してしまった様です。
2018/06/16 時間や手間を掛ければ出来る事なら誰でも挑戦しますが、どうしたら出来るのか解らない事には、腰が引けるみたいです。解らない事を研究して出来る様に成るのは楽しい筈なのに、教えてもらうことに慣れている現代人は、それが嫌いみたいです。他人が知っている事を幾ら知っていても、楽しくないのにね。
2018/06/15 毎日楽しく鍛冶仕事に取り組んでいるけれど、この仕事をこんなに面白可笑しく続けることが出来るのは、稀なのかもしれない、なんて最近気付きました。それが出来る事自体が素質なのかもしれませんが、他人がやりたがらないのに、自分にとっては堪らなく楽しい事を見つけられた私は、とても幸運でした。
2018/06/14 我慢強いと言われるけれど、我慢なんてしていません。金持ちとは程遠く、肉体的にも精神的にも辛そうな鍛冶屋を続ける姿を見て、他人はそう思うのかもしれませんが、至ってへっちゃら且つ楽しいだけです。そもそも我慢は美徳ではなく、能力の出し惜しみであり、人生を停滞させる悪事だと思っています。
2018/06/13 好きで得意を突き詰めろと言うのは、甘えた考えからではありません。今後は益々競争が激しくなり、持てる能力の差が今迄以上に収入に影響し始めます。能力を高めるには、嫌いで苦手を我慢してやるより、好きで得意を楽しくやる方が遥かに有効です。そもそも我慢が報われるなんて、誰かの刷り込みです。
2018/06/12 勝つ事は相手に屈辱感を与え、恨まれもするでしょう。負ける事は屈辱感を覚え、相手を恨んでしまいそうです。私はそのどちらも我慢ならないので、競争が大嫌いです。そもそも、人間の持つ資質の中のほんの一部を切り取り、誰かの勝手なルールで優劣を決めることに、どんな意味が有るのか、解りません。
2018/06/11 廃業する飲食店が多い中で、繁盛店も存在します。行き付けのバーの廃業を残念がる後輩を連れ、繁盛店に行き、その違いを考えさせました。暫く黙っていましたが、多くの違いに気付き少しずつ語り出します。そして最後には笑顔で、この店に又来たいと言いました。起きている事には明確な理由が有ります。
2018/06/10 最初から上手い人は、何故自分が上手く出来るのかを理解出来ていないので、再現性に乏しく、壁に突き当たり易い。努力して上手く成った人は、上手く成る為の方法論を自分なりに編み出しているので、壁を乗り越えやすい。言わば、前者は神様から魚を与えられ、後者は神様から釣り方を与えられたのです。
2018/06/09 師匠の玄能に遺された鑢目の再現に17年かかりました。どんな鑢をどう使えば再現できるのか、様々な鑢を使い実験してきたけれど、偶然にも手作りの鑢に辿り着き、漸く再現できたのです。過去の物の再現には当時に使われていた道具を使わなくてはいけないと言う、当然の事をすっかり忘れていた訳です。
2018/06/08 伝統工芸品の真の魅力は解り難いものなので、それを解り難いまま相手に提示し、解る様に成るまで支援する必要がありますが、近年ではその努力を怠り、秘めたる魅力を伝えきれなくなっています。先ずは知るほどに楽しくなるという事実を知ってもらい、楽しく為に成る情報を提供し続ける必要を感じます。
2018/06/07 ヤスリ作業は素材を削るだけでなくヤスリ目にも気を配る必要が有りますが、理想的なものが既製品には無くなりました。ですから、良く削れるだけの工業製品的に作られたヤスリで荒削りし、良く削れる上に綺麗なヤスリ目の残る工芸品的に作られたヤスリは、仕上げ専用にして長持ちさせるしかありません。
2018/06/06 刃物の理想的な組織と硬度を鍛冶屋の若手に聞かれたので、刃物の種類や用途、使い手の技量や使い方により異なるので一概に言えないと答えたら、怒り出しました。この様に、本来多様である筈のものを小さな枠にはめ、唯一の答えを導き出そうとする態度こそ、工芸品的ではなく工業製品的だと言うのです。
2018/06/05 伝統工芸品の生産者が激減している。時代の流れによる需要の減少と、それに拍車をかけたのが、工業製品との差別化に失敗した事。まあまあの品質で均質な物を作るのが工業製品。日々進化させ、品質に際限が無いのが工芸品。そもそもの定義が違ったはずなのに、当事者自身がこの区別を付けていなかった。
2018/06/04 40代半ばで後が無いと気付きました。死ぬ迄にどの程度の事が出来るのか、想像が付いたからです。そこで、先達から知識を得る事での成長に見切りを付け、後進に知識を与える事で、新たな成長を手に入れようと考え、若手を採用しました。気付くのが遅過ぎた気がしますが、間に合った感じもしています。
2018/06/03 私は我儘でいい加減でやりたい放題で悩みが有りません。変態なのか病気なのか分かりませんが、生まれた時からなので、説明できません。他人が悩んでいると、何故そんな些細な事に悩んでいるのか、理解出来なかったりします。自他ともに認める完璧な変人ですが、変人は自由で豊かなので止められません。
2018/06/02 師匠の仕事を生で見たことが有りません。仕事を見てもらったことも有りません。師匠はやり方を教えず、ただ私の作ったモノを見て、良いとも悪いとも言わずに、少しヒントをくれるだけでした。それでもとても多くを学べたのは、「技は行間から盗まなければならない」ということを、先ず学んだからです。
2018/06/01 来る日も来る日も銘切を練習します。銘切は玄能作りで唯一苦手意識の有る作業です。やり始めて15年以上経つと言うのに、苦手なままです。ですが、練習は苦になりません。良い玄能を作る為に避けては通れない作業ですし、何よりも、それが出来た時の喜びを想像すると、練習せずには居られないのです。
2018/05/31 求人票には給料は高めに休日は多めに書く方が良いと言うけれど、そもそもそれって、商品を売る為に何も考えずに値下げするのと同じでしょ。鍛冶屋の様な弱小零細企業は、他所と比べられない強力な魅力を作り、それを提示するしか採用の道は無いし、採用に限らず鍛冶屋は其れを目指すべきだと思います。
2018/05/30 優秀な人材を定期的に採用出来ている社長に、その理由を尋ねたら、社員や周りが納得して付いて来る様に、自身の魅力を磨き続けているからと答えました。求人しても誰も来ないとぼやく社長に、採用の為に努力している事を尋ねたら、職安に申し込んだと答えました。見えている世界の差に、愕然とします。
2018/05/28 求人の為に哲学・技能・美意識についてブログに書き綴ったことが有ります。私を好きに成ってくれそうな人だけを募集したかったからです。勤めてみたら浩樹は嫌な奴だった、なんて思われるのは嫌ですから。お蔭で採用出来ましたが、おまけに哲学×技能×美意識が強いブランドになる事にも気付きました。
2018/05/27 比べられない為に差別化すると言うけれど、職人仕事の場合には、各々が自分の作法で道を究めていくことで、他人と比べられない領域に自ずから入っていくものだと思います。人生哲学、技能、美意識において、其々については似た様な人も居るけれど、組み合わせれば、唯一無二の存在に成れる筈ですから。
2018/05/26 「諦めなければ夢は叶う」なんて聞くと、支配者に洗脳されているのかな、なんて思ってしまいます。多くに見切りを付け新しい事に挑戦してこそ、自分の得手不得手や本当にやりたいことに気付き、其処で初めて、諦めなければ夢は叶います。洗脳を解かないと、それに固執し、反則プレーも犯しかねません。
2018/05/25 学校での一方的に教えられる授業が大嫌いで、授業の進行を無視して、教科書を黙々と読んで過ごしました。見つかれば叱られましたが、それも無視です。高校生に成るとそれも難しくなり、先生に直訴することに成ります。「俺には教えるな」と。教えられない方が、自己学習能力は遥かに高まると思います。
2018/05/24 鍛冶屋を始めてから、3年で一通りの仕事が出来る様になり、10年でやってきた事の辻褄が合い始め、15年で多少はマシな品物が出来、20年経って漸く、信用されている実感を持てる様になりました。多動力が大事だと言って、何一つ究める事無く多くの事に手を出しても、信用は得られない気がします。
2018/05/23 学生時代はモテませんでした。学校の息苦しさと呪文の様な先生の話に耐え、死んだように鬱々と過ごす私に、女子は近付きませんでした。ところが、社会に出た途端に超モテ始めました。大好きな仕事と趣味を満喫し、何時も溌剌としている姿は輝いて見えたでしょう。居る場所が変わるだけで、大違いです。
2018/05/22 性格を変える必要は有りません。性格を恨めしく思うより、素直に認めて上手く活かしたほうが、どれだけ幸せでしょうか。そもそも性格そのものに良いも悪いもないと思います。馬鹿な事をする人を馬鹿と言う様に、悪い事をする人を性格が悪いと言うのです。変えるべきは性格ではなく、考え方や行動です。
2018/05/21 私の子供は歯列矯正を勧められましたが、治療しませんでした。ですが成人した子供の歯並びは、綺麗に整っています。私は学生時代に、根暗で我儘な性格を直さないと結婚出来ないと脅されましたが、性格は其のままなのに、結婚出来ています。きっと世の中は、無理に直さなくていい事で溢れているのです。
2018/05/20 同じ様に良く切れる刃物でも、作者により金属組織の様子や硬度は微妙に異なります。また、刃先の角度や研ぎの作法、柄の形状や取り付け方等は、切れ味に大きく影響します。即ち、数多くの要素の組み合わせで良く切れる刃物は出来ており、この組み合わせの多様性が、商品の個性や面白さに繋がる訳です。
2018/05/19 新しいヤスリならサクサク切れるのに、私生活では切れないヤスリを使い続ける人が多い様です。体調不良や睡眠不足で仕事をしたり、嫌いで苦手を続けたりするのは、切れないヤスリで頑張っている様なものです。自分を最大限且つ最善に活かす為にも、切れるヤスリを使い、楽に快適に生きたいものですね。
2018/05/18 初心者が修得の為に、やり易いと言われる方法を取り入れる事が有りますが、それが本当にやり易いのか、疑問な事は多いです。例えば槌を振る際に、腕の安定の為に脇を締めると良いと言うけれど、槌の可動域が制限されて上手く使えません。そもそも、初心者こそ使い難い気がしますが、どうなのでしょう?
2018/05/17 間違いではないけれど正しくもない情報が溢れています。これが曲者で、一旦信じると、正しい情報を受け付けません。ですから、正しいと信じている事でも疑ってみる必要が有りますが、一人では難しいですね。師匠は弟子入りの条件として、今迄に身に付けた鍛冶知識を一旦全て忘れるようにと言いました。
2018/05/16 上達に行き詰った時に貴方はどうしますか?私なら、自分らしくない事をやっていると考え、他のやり方を試すか、見切りを付けて他の事を始めます。何故なら、自分らしさを発揮出来る事でないと、見えるものも見えてきません。体重は調整出来ても身長は調整出来ないのと同様に、無理な物は無理なのです。
2018/05/15 ニッチ過ぎて誰も気に留めない事や、儲かりそうもなくて誰も真似しない事が儲からないかと言えば、絶対に儲かるからと他人が勧める事よりは、儲かる気がします。他人が勧める事は、すでに競争が始まっています。絶対に負けない力を付けるまで競争が始まりそうもない事を始めれば、競争は始まりません。
2018/05/14 時流に乗った事や儲かりそうな事を始めれば、たちまち情報が広まり、真似されて競争が始まります。競争が大嫌いな私は、大好きで得意な事の中から、ニッチ過ぎて誰も気に留めない事や、儲かりそうもなくて誰も真似しない事を選んで仕事にしました。自分らしく生きようとしたら、自然とそうなりました。
2018/05/13 大好きで得意なだけでは、仕事として続けていくには、一寸足りない気がします。苦しい時に踏ん張れる、揺るぎない理由が欲しいのです。私の場合は、大好きで得意な事でしか活躍出来ません。嫌いで苦手をやっている時は、死んだようになります。だから「仕方がない」と言う揺るぎない理由が有るのです。
2018/05/12 若い頃には、嫌な事を我慢したり、周りに合わせたりするのも訓練になるけれど、30歳前後で止めても良いと思います。だって、そんなのは自分の人生を生きていません。自分の人生を生きたいなら、何時かその習慣を止めなければいけないのに、多くの人はそんな事すら考えずに、一生を終えてしまいます。
2018/05/11 時の人の言う事を鵜呑みにして皆が同じ方向を目指すのは、彼の思う壺です。彼を正当化することで盛り上げ役に使われ、後発故に競争に巻き込まれ、痛い目に合うだけです。そもそも、上手い話を軽々しく他人に言う御人好しは稀ですから、上手い話は自分で考えるしかありません。尻馬に乗るのは御免です。
2018/05/10 学校に行く理由は、自分の適性を判断する為と、社会の理不尽に耐える訓練だと考えていました。お蔭で高校生に成った頃には、モノ作りが大好きで適性に叶っている事に気付きましたが、学校が大嫌いで適性に叶っていない事にも気付き、辞めたいと先生に言ったら、親も呼び出されて大目玉を食らいました。
2018/05/09 アル中の酒乱に同情はいりません。普段大人しそうに見えて、飲酒で豹変し、周りを恐怖のどん底に陥れます。酔いが醒めれば全てを忘れ、何度でも同じ失敗や犯罪的行為を繰り返します。多くは家庭内で完結し外部に知られない為、大事に至らない限り公に成りません。奴らは人間の皮を被った悪魔だと思う。
2018/05/08 正月やGWだといっても、普段通りに仕事をします。身体が鈍るのが嫌なせいも有りますが、そもそも休みたいと思いません。他所に勤めていた時も、休日も出勤したいほど仕事が好きでした。世間では休日を増やす傾向に有りますが、私なら、休みたいと思う様な嫌いで苦手な仕事は、そもそも選択しません。
2018/05/07 商売で成功するには熱狂的信者を作れと言うけれど、伝統的工芸品の様に、職人が少しずつ成長して良い物が出来ていく世界では、厳しくも長い目で応援してくれる、淡々としたお客が必要であり、そういったお客を増やすことで、職人は安心して淡々と仕事を続けることが出来ます。淡々には淡々が大切です。
2018/05/06 「熱狂的に好き」と「大好き」は、全く違う状態ではないでしょうか。大好きなら、好奇心や探求心を持ち進化し続けられますが、熱狂的なのは、興奮しているだけのお馬鹿な状態な気がします。熱狂的は冷めれば好きでなくなるけれど、大好きは淡々と好きで居られるところが、両者の境目の様な気がします。
2018/05/05 指示通りにやるだけなのは、好奇心が足りず、素直に成れていないからだと思います。素直ならば、師匠の求めている事の真意を汲み、自分なりに工夫して行動できると思うからです。もの作りに素直さが求められるのは、そういうことであり、好奇心を持てる大好きな事をやることで、素直さは手に入ります。
2018/05/04 好きな事なら無意識に丁寧に出来ます。その心遣いは必ず相手に伝わり、喜ばれます。嫌いな事なら無意識に手を抜きます。その怠りは必ず相手に伝わり、悲しまれます。左様に、何をやるかの選択で、努力の有無に関わらず評価は変わるので、出来るだけ努力せずに喜ばれたいなら、好きな事を選ぶしかない。
2018/05/03 新しい価値の提供で驚きや喜びを与えることが商売なら、職人仕事は打って付けです。努力を惜しまない職人なら、たとえ同じものを作り続けても、日々商品は進化します。明日出来る商品は、今日の商品に新しい価値を付加した新商品と言っても良いでしょう。これが職人仕事と工業製品との大きな違いです。
2018/05/02 悩みが無くていいねと知人に言われ、能天気で羨ましいと妻からは言われます。だって、悩む行為自体は何も生み出さないのに悩むって、馬鹿馬鹿しいです。出来る事やって、運を天に任せておけばいいと思っています。そもそも出来る事は沢山有り、それをやるだけで忙しくなり、悩み事を忘れてしまいます。
2018/05/01 多くの人が、誰かの企てに無意識に反応させられ、敷かれたレールに自ら乗り込み、競争を始めます。稀に、企てに反応することもなく、自らの選択で行動できる人が居り、彼等は自分でレールを敷き、競争するもしないも自分で決めています。前者は誰かに謀られた人生を、後者は独自の人生を生きています。
2018/04/30 鍛冶屋に成りたての頃にマスコミの取材で「今の時代に名工を目指して何に成る?」と忠告されましたが、何でもお金に換算してしまう人には、その理由が分からないでしょう。それ以来マスコミの取材を受けなくなった為に、有名に成らず、チヤホヤもされず、お蔭で落ち着いて修業を積むことが出来ました。
2018/04/29 「失敗したら止めればいい」なんて無責任な忠告をする人が居ますが、止めて元に戻れる人は稀です。殆どは、本当の自分を見失い、混乱して相手の思う壺です。大切なのは、やる事を他人に決めさせない事。やる事は自分で決めて、失敗したら何時でも帰れる軸を自分の中に作りつつ、挑戦し続ける事が大事。
2018/04/28 鍛冶仕事での上達のコツは、同じことを繰り返さず、やる度に少しだけずらし、駄目ならまた元に戻すことを繰り返すことです。上手くできた場合でも、身体に定着するまでは繰り返しますが、定着したら、また少しだけずらしてみます。揺るぎない軸足を作りつつ、少しだけ離れた所の様子を診てみる訳です。
2018/04/27 伝統やその伝承を簡単に否定する人は、単にそれを理解出来ていないだけじゃないの?幾ら時代が変わろうとも、人の志向は深い所では何も変わらないと思います。時代の荒波に耐え続けて来たものには、多少不可解に思えても、深い意味があります。鍛冶屋は不可解を集大成させ、良い物を創り出しますから。
2018/04/26 20年程前に「仕事と生活は相互に深く絡み合う不可分のもので、それを切り離したいと思うこと自体が不幸せ」と言ったら、頭がおかしいと言われました。ワークライフバランスの流行で、昔の事を思い出しましたが、四六時中考えていても飽きない仕事を始めれば、そもそもバランスなど必要無くなります。
2018/04/25 飽きるのは、そこに新たな発見が無いからで、それが好きでないか、向いていないのでしょう。同様に、やっている事が簡単に感じられる場合も、新たな発見が無いからかもしれません。そこに新たな面白さや不思議さを発見出来れば、嬉しい反面、その奥深さに狼狽えもし、簡単だなんて思えない筈ですから。
2018/04/24 玄能に銘を入れる場合、字が下手クソな私は苦痛を感じます。銘切さえ上手く成れば苦痛も無くなる訳ですが、大好きな玄能造りの為なら、面倒な練習さえ苦もなく出来てしまいます。左様に、苦労は買ってでもしろと言うけれど、大好きな事を徹底的にやった方が、困難を克服する力は遥かに付くと思います。
2018/04/23 鍛冶仕事の様にマニュアルが有る訳でもなく、教えてくれる人も少ない謎だらけの仕事は、義務感でやっても続きません。本当に好きで四六時中考えてのめり込む様でないと、謎は解けず、袋小路に迷い込むだけです。伝統や社会の為という義務感は一旦脇に置いて、自分の為に楽しむことが大事だと思います。
2018/04/22 自分のやっている事をどの程度理解出来ているのか確かめる為に、動作の瞬間を切り取り、その理由を説明できるかどうか、自分に問いかけてみます。それを繰り返すと、何気なくやっていた事も、理解した上でやれる様に成り、自分を正確に制御できる様に成ります。そうやって自分の精度を上げていきます。
2018/04/21 鍛冶仕事では、作る物の有るべき姿を想定し、必要とされる作業と動作を頭に叩き込み、一気呵成に進めて良い物を目指します。その為には、何気なく行っている些細な作業や動作にも深い意味が有ると考え、それを理解した上で身に着けて置く必要がありますが、上手く成る人は、これが確実に出来ています。
2018/04/20 好きで得意を仕事にする人は、四六時中頭の片隅で考え続けます。儲かるからと嫌いな仕事をする人は、仕事の時間以外は考えようとしません。当然ですが、両者の思いつくアイデアの質と量の差は歴然です。モノやサービスが溢れる中で、新たな価値を生み出そうとすれば、好きや得意をやるしかありません。
2018/04/19 「俺はお前を認めない」なんて言われることがあるけれど、かまいませんが、勿体ないとは思っています。多くの人は、認めたくない事や理解したくない事に対して思考停止しているので、その中身を探れれば、新たな発見の宝庫です。自分が何故それを忌避するのか、じっくり考えてみるのも良いと思います。
2018/04/18 私は見た目も中身も変わっているけれど、気になりません。他人に指摘されても、申し訳ない位に気にしません。多分、他人と違うのが気になる人は、まだ中途半端なのです。もっと突き抜けて変な人に成ってください。それが徹底的なら、自分も周りも認めざるを得なくなり、もう何も気にならなくなります。
2018/04/17 他人が興味を持たない変なものが好きな人は、結構得をしています。それが物なら、手に入れる為の競争が少なく、売れ残っていれば廉価で手に入ります。それが異性なら、めでたいです。それが仕事なら、ニッチで活躍できるかもしれません。そして、誰も思いつかなかったものを創造出来るかもしれません。
2018/04/16 完成度を高める為に、しこしこ取り組んでいます。新しいものを作り出す為に、うんうん唸っています。新しい価値の創造の為に、ひいひい言っています。玄能作りに毎日しこしこうんうんひいひいするのは、私にとっては楽しいだけで、苦労を感じません。新しい文化を創り出すことが、楽しくてなりません。
2018/04/15 嫌いで苦手は克服できる気がしません。一時的に克服出来たつもりでも、時間が経てば、元の木阿弥になる気がします。子供の頃に苦手だった「人混み」「大きな音」「生臭い食べ物」等、一時的に克服出来ていましたが、最近では子供の頃よりも更に大嫌いに成りました。無駄な努力だったのかもしれません。
2018/04/14 「人は変化出来る」なんて言われたら、自分を全否定されているように感じ、腰が引けてしまいます。そもそも「三つ子の魂百まで」と言うように、性格は変わりません。ですから、性格を活かした上で、良い面を伸ばせばいいと思います。ですから、人は変化出来るのではなくて、「人は進化出来る」のです。
2018/04/13 民謡を聞いている老人を子供の頃に見て、自分も老人に成ったら民謡を聞くのかなって思っていましたが、聞きませんね。子供の頃に聞いていた曲を今でも聞いています。即ち、若い人に好きに成ってもらえれば、長期に渡り、好きで居てくれる可能性が高いということです。これって意外と見落としがちです。
2018/04/12 大好きな事を始めても失敗したら嫌だな。大好きな人に告白しても振られたら嫌だな。ダイエットして痩せてもモテなかったら嫌だな。なんて風に、殆どの人がやらない内から心配して始めないので、やった人の成功率は上がります。まるで、やらない人がやる人を応援しているかのようですね。悔しいでしょ?
2018/04/11 嫌いで苦手な事なら、いつまでも上手く行かずに叱られてばかりです。嫌いで得意な事なら、幾ら褒められてもあまり嬉しくありません。好きで苦手な事なら、最初は上手く行かなくても、一寸だけ頑張ってみる気になります。好きで得意な事なら、ワクワクする反面、実は始めるのが一番怖いかもしれません。
2018/04/10 玄能作りは歴史小説の編纂に似ている。残された数少ない断片的な資料を基に、想像力を働かせ創作する活動だ。残念ながら、過去の鍛冶職人や鍛冶技術に関する資料は、余りにも少なすぎる。ならば、職人が創作物だけでなく、創作活動の記録も残したなら、それ自体が大いなる文化遺産に成る可能性がある。
2018/04/09 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というけれど、聞いて良い事と悪い事が有ります。玄能作りなら、玄能の歴史や名称は聞いて良いけれど、作り方は聞かずに自分で考えないといけません。変化しないものは聞いて良いけれど、変化や進化の可能性の有るものは、自分で考えながらやらないと即応できません。
2018/04/08 日本の大工道具は使いこなすのに時間は掛かるけれど、熟練すれば汎用性が高く、とても効率よく作業出来ます。左様に、修行を必要とする、ある意味において未完成な道具を尊ぶ文化は、人間や創作物の完成度の高さを尊ぶ文化であり、人の成長を時間を掛けて見守る事の出来る寛容な文化なのだと思います。
2018/04/07 鍛冶仕事に関わる全ての事が、昔と今とではまるで違って見えます。起きている事象から受け取れる情報量が、遥かに多くなりました。きっと今でも達人と比べたら、何も見えていないに等しいのでしょうが、武芸の達人が指先一本でへなちょこを瞬殺出来る理由が、今では少し分かってきたような気がします。
2018/04/06 好きで得意な事を夢中で掘り下げ、先ずはその分野で一角のものに成り、その後、それまでに手に入れた技術・技能・人脈を頼りに、マネタイズを考えます。こうすると、最初は貧乏するでしょうが、好き嫌い抜きに目先の儲けを追うよりも、世の中に生み出される新しい価値の質と量は、遥かに上がる筈です。
2018/04/05 行動出来ない人は考えが足りないのだと思う。考えが足りずに不正確な故、それが不安に繋がって、踏み出せないのだと思う。そこで、考えを文字にすることを勧めます。SNSの140文字は、考えをまとめるのに丁度良い長さです。毎日書き続けるだけで、考えが正確に成り、行動を起こしやすくなります。
2018/04/04 趣味も仕事も手を抜かず、両方楽しんできましたが、最近は仕事の方が楽しくてなりません。鍛冶屋は大して金儲けが出来ないけれど、品物の出来不出来により、お客さんの反応がガラリと変わるので、スリル満点で興奮できます。なによりも、世の中に貢献できている実感を持てるのが、最大の喜びなのです。
2018/04/03 鍛冶仕事は、続けるだけでも経済面で厳しい上に、加齢で体が利かないからと言って、人を雇うにも、今迄の仕組みでは簡単ではない。そこで、現在試しているのが、鍛冶仕事に応用の利く異分野の仕事を取り入れること。他の仕事で収入を補いつつ、人を雇い育て、大好きな鍛冶仕事を続ける仕組みなのです。
2018/04/02 作業能率を上げる為に体を早く動かしても、疲れるばかりで、思った程に捗りません。その場合、根本からやり方を変えるのが一番ですが、それが出来ないなら、モノの配置や身体の位置を少し変えるだけで、随分と楽に作業出来ます。そして不思議と、楽に出来る方法を考え続けるだけで、随分と上達します。
2018/04/01 悔しさをバネに頑張れと言うけれど、悔しさは憎しみや妬みを伴い、相手に勝つことが到達点に成ってしまう。憧れをバネにすれば、相手や勝つことに囚われる事無く、もっと高尚な目標を見つけられ、相手に対する敬意や謙虚さも生まれ易い。人間心理の間違った活用が、荒んだ人間関係を作っていると思う。
2018/03/31 何でもそうですが、好きなら案外上達出来ます。ですが、好きで居続けるのは難しいのに、多くの人はその努力をしません。そもそも、好きは与えられるものではなく、作り出すものなのにね。ところが、上達すること自体が好きな人にとっては、好きで居る努力も必要なく、好きと上達の好循環が生まれます。
2018/03/30 今のやり方にこだわる人は、上達出来ません。上手く出来ているつもりでも、そのやり方は、拙い自分にも理解出来る程度の途上でしかありません。もっと良いやり方が有ると信じ、やり方を更新し続けないと、一寸だけ上手な人で終わります。達人のやりかたは、凡人のやり方の延長線上にはないのですから。
2018/03/29 進歩する人は変化を楽しみ、今の自分を捨て続けられます。それは、自分を否定してのことではなく、肯定しつつ、未来の自分を信じて捨て続けるのです。実は、こうやって毎日書き続ける事でも自己肯定感は増し、何かやってみたくなります。140文字を書き続けるだけで、世界の見え方が変わってきます。
2018/03/28 幼く見える人は、やるべき事をやらずに、逃げ回っている人なのかな。若々しく見える人は、苦労を苦労とも感じずに、溌剌と生きている人なのかな。老け込んで見える人は、避けられない苦労を背負っているからというよりも、些細な事にさえ苦労を感じ、手を打つことなく、我慢して生きている人なのかな。
2018/03/27 大好きで得意な事を楽しみながらやり続けた人が、成功した途端に苦労話を始めるのは、如何なものでしょう。苦労話が好きな人の期待に応えてのことかもしれませんが、「楽しみ過ぎて苦労を忘れていました」くらいのことを正直に言ってくれた方が、自分の夢に挑戦する人は、遥かに増える気がするのです。
2018/03/26 過去の工人の良く出来た工芸品を見ると、その精巧さに息を飲みます。何故そこまで出来たのかを考えてみると、仕事だからと嫌々やったのではなく、「好き」と「得意」を活かして世の中に貢献する事に、大きな喜びを感じていたとしか思えないのです。嬉々としてやっている姿しか、目に浮かばないのです。
2018/03/25 焼入れ温度に加熱した鋼を水で急冷すると、膨張していた鋼が収縮していき、約250℃位になると急激に膨張し、硬くなります。これは組織配列を変え、ストレスを発生させる操作ですが、硬くなると同時に脆くもなるので、この後に少し加熱して一寸だけ軟らかくします。人を育てることに似ていませんか?
2018/03/24 其れ迄に感じたことの無い新鮮な感覚を抱かせてくれる人が好きです。微妙に変な気持ちに成るけれど、つい気になってしまう様な人も好きです。そんな人との出会いは、自分の中に眠っている、未知の思考回路を目覚めさせてくれます。「はっ、何を言ってるんだ?」と思わせてくれるくらいが丁度良いです。
2018/03/23 丸鋼玄能に使われる炭素鋼S55Cは、焼きの入りが比較的良くない性質が玄能に向いています。S55Cは水焼入れしても、表面から3〜5mm程度しか硬く成らない故に、焼入れ方法を工夫することで、胴中は軟らかく、打撃面を硬く作り分けられます。以上、言葉にすれば簡単ですが、底なし沼より深い。
2018/03/22 量を質に転化させ難いことは、一途に続けても大成しない人が多い事からも、よく解ります。質に転化できない人は、同じことを繰り返すだけです。質に転化できる人は、量をこなしつつ常に改善を続ける人で、言い換えれば、魚の釣り方を自ら編み出し続ける人です。本当に好きでないと、出来ないですよね。
2018/03/21 同じ物を作るにしても、少しだけやり方を変えてみます。すると、作者にしか分からない僅かな変化が作品に生まれます。それを毎日繰り返すと、その僅かな変化が、其れまでに無く上質に変化する瞬間が来ます。左様に、普通が普通でなくなる瞬間とは、変化の質が其れまでとは全く変わる瞬間なのだと思う。
2018/03/20 人気者で居続ける職人は、やはり上手いのです。作品からは、溢れんばかりに鍛錬の痕跡が匂い立ちます。普通のものを作れば、最早、普通ではなくなり、外連味が有るものでさえ、嫌味なく素敵に魅せてくれます。以前、ある目利きに教えられたことがあります。「名人は何を作っても、名品に成ります」と。
2018/03/19 感動したことを周りに話しても、全く共感を得られないことがあります。そうです、私は他人と感性がずれているのです。お蔭で、他人には見えないモノが私には見える為に、独自なアプローチで仕事が出来、競争せずに済んでいます。ですが、他人には苦も無く出来る事が、全然出来なかったりします。(笑)
2018/03/18 今迄にやってきた鍛冶仕事について、文章にまとめ始めています。お蔭で、自分の理解出来ている事とそうでない事が明確に成り、探求心が強くなりました。不正確な知識を正確にする為に、注意深く作業を観察する習慣が付きました。書くことでやりたいことが明確に成り、益々鍛冶仕事が楽しくなりました。
2018/03/17 自分のパフォーマンスを最大限且つ最善に発揮できる状態は、好きで得意な事を活かし、世の中に貢献することだと言い続け、それを実行してきました。そんな我儘の為に敵を増やしてしまいましたが、好きで得意を活かすことでしか生きられない、哀れで不器用な人間だと解釈し、勘弁してもらいたいのです。
2018/03/16 玄能作りの上達に従い、動作が優しく成りました。始めた頃は荒く無駄な動きが多く、上手く行かない時には、使用する道具や自分の心身にさえ、傷を付けてしまいました。今では周りや自分を傷付けることも少なくなり、時々一寸だけ火傷する程度です。玄能作りの上達と人間の成長は、なんだか似ています。
2018/03/15 好きで居続けるのは大変です。好きな対象に変化が無く、自分にも変化が無ければ、直ぐ嫌になってしまいます。自分が感性を磨き、好きな対象の中に新しい発見が出来れば、お互いが変化したことに成ります。好きで居続けるには、好きな対象に変化を求めるのではなく、自分を変化させ続ければいいのです。
2018/03/14 好きや得意を仕事にした筈なのに、嫌になってしまう人が居ますが、それは自分の喜びを得る為だけにやっているからです。相手に喜びを与える事で得られる喜びこそ、本当の満足に繋がり、長続きできると思います。その為には、徹底的に自分の能力を磨き上げ、好きや得意を進化させ続けるしかありません。
2018/03/13 人を雇う為に未経験な事を多々やって来ましたが、とても楽しかったのです。なにより、駆けずり回り得た人脈は、今も私に力をかしてくれます。情報発信の為に書いた文章は、知識や考えを整理し、技能を進化させてくれます。人を雇うのは無理だと忠告をくれた人達には、この喜びが分からないでしょうね。
2018/03/12 自分を好きに成ってもらえれば、恋愛は成功します。商品やサービスを好きに成ってもらえれば、商売は成功します。餌や疑似餌を好きに成ってもらえれば、魚釣りは成功します。左様に、好きに成ってもらえさえすれば、大抵のことは成功するのに、その事実に気付き努力する人は、とても少ないみたいです。
2018/03/11 どうやら私は禁欲的で修行僧の様な人間だと思われているようです。飾らずに思ったままをSNSやブログには書いているので、それを見た周りがそう感じたのなら、きっとそうなのでしょう。好奇心旺盛でいい加減な人間だと思っていたので驚きます。自分のことは他人に聞いてみないと分からないものです。
2018/03/10 「全鋼の玄能が正しく出来れば、鋼付玄能など目をつむっても出来る」と師匠は言いました。当時それを「簡単な物が正しく出来てから、難しい物に取り掛かる様に」と受け取りましたが、今でも全鋼の玄能でさえ簡単ではないので、「正しく作ろうとすれば、両者共に等しく難しい」と言っていたのだと思う。
2018/03/09 叱られたくないからやるようでは、全然駄目です。褒められたくてやるようでは、全然情熱が足りません。期待されるからやるようでは、当たり前すぎます。褒められることや期待されることが無くても、やりたいことを嬉々として出来る人だけが、誰もやろうとしない事を始め、それをやり遂げるのだと思う。
2018/03/08 自分に有る物は普通すぎて陳腐に感じるけれど、自分に無い物を求めていても、軸がぶれて何も成せない気がします。そもそも、自分にとって普通でない事は長く続けられないので、達人でさえも当人の普通を極めただけなのかもしれません。自分にとっての普通を貫くことに、大きな意義を感じ始めています。
2018/03/07 私の作る玄能を初めて見る人は、不思議な感じを受けるそうです。理由は分からないけれど、変な感じがすると言います。私は究極の普通を目指して作っているつもりですが、他人の普通とは大きくずれているようです。ならば、それこそを唯一無二の個性と自覚し、益々「普通」に磨きを掛けたいと思います。
2018/03/06 変化の激しい時代の職人に求められる力を考えてみました。先ずは、過去の工人の優れた技能を理解し忠実に再現する力。そのうえで、今迄のルールや常識に違和感を嗅ぎ取る力。その違和感を検証し改善する力。それを基に新しい物を作り出し発信する力。どう考えても、好きでないと出来そうに有りません。
2018/03/05 鍛冶仕事にまつわるまことしやかな伝説や迷信は沢山有りますが、その誤りに気付いた鍛冶屋は好機です。検証すれば正誤の判断が簡単に付くものでさえ、盲信されている限り検証されることはありません。皆が信じている誤りを見抜き、それを解決した商品を作りさえすれば、他人を出し抜くことが出来ます。
2018/03/04 昨晩は地元の若手職人と問屋の数名で酒を飲みましたが、作るもの自体の話よりも作る姿勢や人間性の話で盛り上がりました。師匠の下に通っていた時にも、技術的な事よりも仕事に対する姿勢を中心に教わったことを思い出します。生き様が優れれば、良い物は必然的に生み出されると考えていたのでしょう。
2018/03/03 作るものの本質を見極め、思考錯誤を繰り返し良い物を作るだけでは足りません。その姿勢を継続できる人間性を認められなければ、安心して購入してもらえないのです。左様に道具の目利きは出来たものだけを見ている訳では無いのですが、人気を長続きさせられない人には、その視点が足りない気がします。
2018/03/02 気に入ったものを購入する際に奥様に相談するのは止めた方が良いのです。男のロマンを理解出来る奥様はとても少なく、説明して分かってもらえる事など、ほぼ有りません。欲しい物はこっそりと買うべきです。そしてこの歌を貴方に捧げるのです。聞いて気になり見て欲しくなり、買うてうれしい浩樹玄能。
2018/03/01 自分ならもっと上手く出来ると思う人にも2種類います。一方はすぐに始めてしまう人。もう一方は徹底的に下調べをして始める人。前者は結局何も見えていないのでしょう。後者はその難しさが分かった上でも、不思議さ面白さに魅了され、最善を尽くしてしまう人です。どちらが上手く出来るかは歴然です。
2018/02/28 真似されず競争のないブランドを作る為、商品と自分とを強く関連付けて情報発信する必要性を感じていました。その為にやるべき事は何なのかを自問自答し、140文字のコラムとして3年間ほぼ毎日発信してきましたが、期せずして、これが商品と自分とを強く関連付ける個人メディアに育っていたのです。
2018/02/27 文句ばかり言う人は、状況が改善されても新たな文句の種を見つけ、文句を言い続けます。他人に依存するだけでなにもしないので、益々思い通りに行かず、不満は募るばかりです。周りからは責任を放棄して駄々をこねているだけに見えますが、当人は相手を責める事で優位に立っているつもりなのでしょう。
2018/02/26 簡単だと言って引き受ける人に上手い人は少ない気がするので、達人に聞いてみました。私「どんな気持ちで引き受けますか?」達人「先ず、どうやったら上手く出来るか考えます」私「簡単そうな仕事だったらどうですか?」達人「簡単な仕事など有りません。何だって掘り下げれば難しいのです」流石です!
2018/02/25 その難しさに全く気付いていないのに、何故に分かった気になるのだろう。簡単な事が出来ていないのに、何故に難しいことが出来るつもりに成るのだろう。気にも留めないような些細な動作にさえ深い意味が有ると心得、無意識かつ正確に出来る様に身に着けないと、本当の難しさは見えてこないというのに。
2018/02/24 自慢する人は未熟さを露呈しています。何故なら、同じことを普通に出来ている人は自慢する気にさえなりません。威張る人からは威張らざるを得ない不安な気持ちが垣間見えて、見ていて気の毒にさえなります。自慢せず威張りもせずに淡々と熟している人からは、底知れない奥深さと怖ささえ感じられます。
2018/02/23 興奮すると失敗することが多いので、公私共に平静を心掛けています。趣味や仕事では出来るだけやる気を出さず、淡々と進める様にしています。調子が良くて鼻歌の出そうな時にも、ぐっとこらえる様にしています。面白みのない奴と言われますが、この状態が私に最大のパフォーマンスを発揮させるのです。
2018/02/22 私の仕事は大して儲からない上に極めて3Kですが、毎日楽しく暮らしています。我ながら不思議ですが、上達したいと自発的に思える仕事に巡り合い、情熱を傾け続けられている事に、喜びと誇りを感じているからかもしれません。これで儲かればいう事は有りませんが、今でも充分に贅沢な気がしています。
2018/02/21 元々備わる素質をそのまま伸ばしても、あまり伸びない気がします。素質を一旦手放す事でその本当の価値に気付き、それを取り戻す為に格闘して始めて、それを開花させることが出来る気がします。ですから子供の持つ優しさは無垢ですが、大人の持つ真の優しさは、格闘して得た血みどろの優しさなのです。
2018/02/20 人は反射的に周りと競争を始めてしまい、次第にギラギラしてきます。他人との競争を止め、主体的に理想を追い求め始めると、ギラギラから次第にキラキラに変わり始めます。ですが最初からはキラキラ出来ません。ギラギラと他人を傷つけ、その人の痛みが分かってからでないと、キラキラは難しいのです。
2018/02/19 正しく使えば高性能を発揮する物でも、間違った使い方では事故や怪我に繋がります。ですから高性能な物に高性能を発揮させるには、使ってもらう相手を選ぶ必要が有りますが、それが出来なければ、誰でも使える凡庸な物を準備しなくてはいけません。其処に工芸品と工業製品の境目が有る様な気がします。
2018/02/18 名工の作品を模写する場合、形状だけ真似て作ろうとしても、作業工程と形状に齟齬が生じて上手く行きません。作者が何故その様に作ったのか、又その様に作らざるを得なかったのかを推理し、敬意を払いつつ作業工程を組み立てないと、同じ様には出来ません。作者の哲学をも模写する覚悟が必要なのです。
2018/02/16 同じ事をするにも、やり方を少し変えるだけで結果が大きく変わることが有ります。以前より悪くなる事も有るけれど、其処からも多くを学べる筈です。多くの人達が、始めた時のやり方や最初に上手く出来た時のやり方を繰り返すだけなので、少し変えてみる習慣を付けるだけで、優位に立つことが出来ます。
2018/02/15 安定して揺らぎの無いものより、見る人に不安を与えないギリギリの不安定さに人は面白さを感じ、それを味と絶賛します。ですが見る人の鑑識眼によっては、それを不手際と酷評することさえ有ります。ですから本当に味の有る物を作ろうと思えば、そのギリギリの判断を常に突きつけられる覚悟が必要です。
2018/02/14 鍛冶仕事では視・聴・嗅・味・触の五感の全てを使います。一つの感覚だけを研ぎ澄ましても、疲れるだけで効果は上がりません。其々の感覚を最大限かつ最善に活かし合える塩梅を見つける事が肝心ですが、これは鍛冶仕事に限った事ではないでしょう。全体を成長させるには、活かし合う事が大切なのです。
2018/02/13 スポーツでは一種目に金メダルは一つなので、それを目指して熾烈に争いますが、人生においての金メダルは、自分の価値観に則り、幾らでも作り出すことが出来ます。また、人生はスポーツの様にルールに縛られることも無いので、自分のルールは自分で作り出し、自分らしい金メダルを目指せば良いのです。
2018/02/12 他人を疑わず、悪口を言わず、何時も淡々としている若者が居ます。人は良いけれど御人好しでなく、思慮深かったりします。他人に勝ちたいとか、他人を押しのけて得をしようとか、考えたことも無さそうです。理不尽な思いをして悟りを開いたのか、途轍もなく育ちが良いのか、凡人の私には分かりません。
2018/02/11 今回の大雪では除雪車不足や除雪作業者の未熟さが露呈しました。除雪車を保有する手練れの小さな建設業者が倒産や廃業で激減したのも理由の一つですが、大きな建設業者が1軒有るよりも、小さな建設業者が分散していた方が、早急に対応出来た筈です。緊急時には集中よりも分散が大切な事が分かります。
2018/02/09 雪道走行を見ると運転の上手い人と下手な人の差が良く分かりますが、前者は上手く成ろうと興味を持って運転し、後者は何も考えずに同じことを繰り返しているだけなのでしょう。髭剃りや歯磨きだって漫然とやる人と上手く成ろうとする人とでは、結果は歴然です。下手な人はそれにさえ気付いていません。
2018/02/08 降り続く雪に井戸も枯れ、雪の始末に困ります。そこで思い付いたのがピラミッド式積み上げ法です。スノーダンプで一段目を敷きつめた後に、スロープを付けて二段目を積み上げます。それを繰り返していくと、狭いスペースに楽に沢山の雪を積み上げることが出来ます。お蔭で辛い作業も楽しく出来ました。
2018/02/07 師匠は弟子を取らないと公言していたらしいですが、私は知らずに会いに行きました。知らないから行けたと思う反面、知っていたら行かなかったのかと言えば、間違いなく行っていたと思います。そもそも、知っていたら怖気付く様な人は、知らなくて始めても、いずれ怖気付いてしまう人だと思っています。
2018/02/05 多くの人が自分の理解できる範囲でしか物事を認知できません。ですが中には理解できていないにも拘らず認知できてしまう人がいます。彼ら天才が凡才と大きく違うのは、多くの人が素通りしてしまう様な事にさえ、不思議さや面白さを感じ取ることの出来る素直さと柔軟さを兼ね備えているということです。
2018/02/04 通勤途中の橋の上で信号待ちに成り、遠くに見える景色を無意識に確認し安心している自分に気付きました。世の中は目まぐるしく変わっても、故郷から見る遠くの景色は何も変わりません。人間も同じですね。自分の中に不変なものを持ち、其処に何時でも帰れると思うことで、安心して何でも挑戦出来ます。
2018/02/03 他人の作ったルールは守れませんが、自分で作ったルールなら守ります。でもね、自分でルールを作るってとても難しいらしいです。何もない状態にぽんと投げ出されて好きにして良いと言われても、多くは何も出来ないらしいです。私ならどんどん楽しい事を考えますから、一人で居られるのかもしれません。
2018/02/02 心地良い事をそのままにしておくのは勿体ないので、その先に有るもっと心地良い状態に辿り着くために、本を読み知識を増やし、人に会い刺激を受け、身体を動かし五感を鍛えてみるのも良いかもしれません。そして、日本人が皆そんな風に考えて行動を始めたなら、文化も景気も一気に向上すると思います。
2018/02/01 怒っている人は損をしています。怒らせている人は気にも留めてないのに、怒ると益々気分が悪くなります。意地悪する人は楽しんでいるのに、怒ると益々悔しくなります。気分が悪く成ったり悔しく成ったりしても何の得にもならないのに、人は何故か怒ります。そして自己嫌悪に陥り、益々苦しくなります。
2018/01/31 音楽好きなバーのマスターに好きな曲を聞かれ、最近はボサノバを聞いていると答えました。彼はボサノバにも詳しく、薀蓄を披露してくれましたが、私は自分の無知に恥じ入るばかりでした。好きなものについて語れないのは寂しいので、ボサノバの勉強を始めましたが、知りたい気持ちになるって素敵です。
2018/01/30

ほぼ毎日3年間に渡り140文字のコラムを書き続けて来ましたが、想いを書き出すことで漠然としていた考えを明確にし、行動せずにはいられない様にした訳です。お蔭でこの3年間は沢山の未経験な事を体験できました。主に守りに徹し地盤固めをしてきたので、これからは攻めに転じようと考えています。

2018/01/29 丁寧に火造りして火造り肌が薄ら残る程度に軽くヤスリで仕上げた物よりも、手間を掛けずに大まかに火造りしたものを回転工具で削り出したものの方が、素人目には良く見えたりするけれど、もしも前者で素人目にも良く見えるものが出来たなら、作者にもお客様にも、とても有意義で素敵な事だと思います。
2018/01/28

工場の消雪ポンプの水位が下がり、水が出なくなりました。仕事で安定して使う為に、周りよりも深く掘っていたのに残念です。今迄は周りが出なくなっても、私の工場だけは勢いよく出ていたというのに。きっと周りも負けじと深く掘ったのでしょう。競争は嫌いでも、こんな事で競争を強いられちゃいます。

2018/01/27 上手い人を真似る時に、目の前で起きている現象をそのまま真似ても上手くいきません。何故そのようになったのかを推理し、起きている現象を遡って真似なければいけません。例えるなら桶屋が儲かる理由を風が吹いたからだと推理する様なもので、もしもそれが出来たなら、上達は約束された様なものです。
2018/01/26 早く身体を動かせば作業がはかどり上達も早いと思っている人は、意外と多いようです。ですが、身体を早く動かすだけでは無駄な動きばかりが増え、上手く成らない上に大して早くも出来ません。正しい動作を正確に行う事で無駄を無くし、その結果として早く出来る様にしなくてはいけないと思っています。
2018/01/25 鍛冶仕事で何が一番難しいかと聞かれたなら、全部と答えます。最初は簡単だと思っていた事でも、やるほどに奥の深さに気付き、簡単などと言っていた自分を恥じるばかりです。ほんの入り口から覗いただけで、奥の方まで見ていなかったのでしょう。早々に探求すれば、全部難しい事に気付いていた筈です。
2018/01/24 短所が無いからその人を好きに成るのではなく、長所に強く惹かれて好きに成る筈です。実はその長所だって他の人から見たら短所かも知れません。もしも商品やサービスも同じであるなら、短所を無くすことに注力するより、好きになってもらいたい人を引き付けることの出来る長所を磨いた方が良い筈です。
2018/01/23 便利な測定器を使い鍛冶屋は不良品を減らしましたが、不良品を出さない事と良い物を作る事は、分けて考える必要が有ります。品質が合格範囲に入ったからと満足していると、より良い物を作る気概は失われてしまいます。失敗しない事ばかり考えて作っても平均的な物しか出来ず、益々特徴が無くなります。
2018/01/22 失敗しない様に作るよりも、良い物を生み出す為に作りたいのです。不幸に成らない様に生きるよりも、幸せになる為に生きたいのです。悪く成らない様にするよりも、良く成りたいと思うのです。恐れや不安よりも好奇心や喜びを推進力に生きたほうが、ずっと楽しく生きて行くことが出来ると信じています。
2018/01/21 興味を持ったことについては複数の著者の本を読むことをお勧めします。すると真実など移ろい易く、見方により善悪でさえ簡単に逆転する事が分かります。ですから、其れまでの見方や考え方が大きく変化しますが、この見方の幅を広げ深く考えられる様になる事こそが、人間の最大の成長だと思っています。
2018/01/20 燃える様な恋をしたいとか、血がたぎる様な仕事をしたいとか、若い頃には思っていましたが、本当に大好きに成ると、燃えもしないしたぎりもしない事が分かりました。傍から見たら好きな事に気付かないほどに、好きな対象に依存も期待もなく、少し距離を置いて、ただ静かに好きで居られる様になります。
2018/01/19 揺るぎない軸のある人は失敗しても帰る所があり、恐れず挑戦を続けられます。軸のない人は失敗して迷子になるのを恐れて、挑戦できません。ですが両者共に最初は軸がない筈ですから、その違いは何時生まれたのでしょうか?きっと、恐れを知らない幼い頃に好奇心を大切にしたか否かの違いだと思います。
2018/01/17 大好きな事を楽しいまま続けるには、自分の思い通りに出来る事が肝心なので、相手に主導権を渡してはいけません。それは相手を威圧的に抑え込む事ではなく、相手を喜ばせておいて、此方の我儘を許してもらう事です。得るよりも先に主体的に与える事で、より多くの楽しさを受け取ることが出来るのです。
2018/01/16 誰とやるかで楽しさは大きく変わります。どんなに大好きな事でも大嫌いな人とやるなら台無しですが、大嫌いな事ですら大好きな人とやれたなら、結構楽しく出来そうです。ですが、大好きな人をずっと大好きなままでいるのは簡単ではないので、人を大切にすることが楽しさを長続きさせる秘訣になります。
2018/01/15 大好きなことをやるために避けて通れない大嫌いなことは、結構出来てしまいます。例えば待つことが大嫌いな人でも、約束の時間に遅刻した大好きな異性を待つことは出来ますよね。ならば、大嫌いを克服するには大好きと関連付けてやれば良い訳ですが、多くの人は大嫌いと真正面から向き合い挫折します。
2018/01/14 目立つことよりも当たり前を自然に出来る方が格好良いと思っています。目立つことを点とし、当たり前を面と捉えるなら、面を気張らず出来る方が遥かに能力は高いと思うからです。ですが商売では目立つことも肝心なので、当たり前を自然にやりつつ目立つことが出来たなら、上手く行けるかもしれません。
2018/01/13 素人さんはピカピカのものを尊びますが、実は素っ気ない物ほど作るのは難しいのです。表面仕上げなら、ピカピカの鏡面仕上げよりもヤスリ目を立てて仕上げるヤスリ仕上げの方が、遥かに熟練を要します。私の場合なら、鏡面仕上げはやったその日に出来ましたが、ヤスリ仕上げは10年以上かかりました。
2018/01/12 大雪で何処も彼処も大渋滞です。以前ならばすぐに幹線道路はおろか、枝道まで綺麗に除雪されましたが、今では枝道は何時までも除雪されません。そして何より除雪が下手糞!上手く成る方法を考えるだけでも作業は楽しく出来る筈なのに、何を考えて除雪しているのか?きっと嫌々やっているのでしょうね。
2018/01/11 技能習得の訓練を同じ時間するならば、一人でする時間が相対的に長い人ほど上達が早いそうです。確かに、何時も群れている人の中に達人は少ない様です。他人と比べず影響されず、誰に教わるともなく自分との対話の中で自分に最適な方法を編み出し、独り淡々と訓練を進めるのが上達の秘訣なのでしょう。
2018/01/10 最近では無駄な動きも少なくなり、益々作業が地味に成りました。火造りや焼入れの際の火力は、燃料のコークスの上に青火がチョロリと出る程度で迫力も無く、他人に見せても喜びません。バーのマスターが言っていましたが、下手なバーテンダーほど無駄な動きが多く、素人目には格好良く見えるそうです。
2018/01/09 聡明で穏やかな人には、世の中がスッキリと見えているのだろうね。暗愚で不平不満ばかりの人には、世の中が歪んで見えているのだろうね。前者は目の前の事をありのままに受け止め、後者は有る筈もない悪意すら感じ取るのかもしれない。どちらにも成れる筈なのに、成ろうと思わないのは何故なのだろう。
2018/01/08 天才的に活躍する人の中には、それ以外では生きて行けそうにない人が居ます。逆を考えれば、今は全く活躍出来ていなくても、条件を変えれば飛躍的に活躍できる人も沢山居そうです。ならば、最大限且つ最善に活躍出来る条件を考え続ける事は、神頼みや宝くじよりも幸福に近づく現実的な手段に成ります。
2018/01/07 一日位は良いけれど、二日休めば調子は狂うので、若い頃は休むのが怖かったのです。年を取る程に些細な調子の狂いに敏感になりましたが、調子を取り戻す為の心身の微調整を楽しめる様になり、それが商品の均一性の担保にもなるので一石二鳥です。どんなに好きや得意でも、楽しむには時間が掛かります。
2018/01/05 上達を目指す場合には、すぐに始めずに良く考えてから始めます。楽しく長く続ける為に、誰と何処でどんな風に進めたら良いのかを時間を掛けて考えます。挫折する多くの人は、それをやらずに始めてしまうのでしょう。上達に「楽しく長く」は必須なので、その為に出来る事を先ずは考える必要が有ります。
2018/01/04 大好きで長続きさせたい事ほど、適度に距離を置くようにしています。夢中に成り過ぎ周りが見えなくなると、調子を崩してしまいます。執着しすぎて競争を始めると、嫉妬心等の余計な感情を背負い込むことにもなります。ですから、何時でも止められる位の距離感でいた方が、長続き出来る気がしています。
2018/01/03 頑張る事が大嫌いで、一生懸命に生きている意識も有りません。やらずにいられない事をやっているだけで、努力と言う言葉さえ不似合いな気がします。但し人生を思い切り楽しもうとする意識は人一倍で、それが私の原動力にもなっており、命がけで楽しむことで充分に生きて行ける確信も持ち始めています。
2018/01/02 心のままに挑戦し、何か成し遂げても誇ることなく、誰にも褒められずとも自分の行いに喜びを感じ、無知無力を知り素直に頭を下げられ、目立たず知られず静かに仕事を続け、死んだ後に残った作品を見た人が、「へえ、こんなヘンテコな鍛冶屋も居たんだ」って思ってもらえるくらいが丁度良い気がします。
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玄能日記 私のどうでもいい日記です。
お暇な方だけどうぞ。(笑)