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     火造り槌 870g

第7章 焼き割れ
・焼き割れを防ぐには (1)


1.火造り時の温度管理と鍛えがしっかりと出来ていること。

1−1.鋼付玄能・金槌の火造り工程

火造りの際の加熱には様々な加熱炉が使用されますが、

私はコークス火床を使用しますので、

それを前提に話を進めます。

コークス火床は、

コークスの上に青い炎がちょろちょろと上がる程度に火力を調整して、

準備しておきます。

赤い炎が上がる様では火力が強すぎます。


先ずは、

地金を所定の形に成形します。

地金丸棒を火床に入れ、

1000℃程度に加熱し、

形を整えます。


次に、

所定の形に鋼づくりをします。

鋼を火床に入れ、

900℃程度に加熱し、

鍛錬しながら形を整えます。


続いて、

700℃程度に加熱した地金の鍛接面の金肌を除去し、

そこに鍛接材を盛り、

その上に鋼を載せます。

充分に鍛接材が溶け、

状態が落ち着いたところで火床に入れ、

1000℃程度に加熱します。

火床から取り出し鋼の位置を箸で微調整し、

槌で軽く叩いて仮付し、

更に鍛接剤を振り掛け火床に入れ、

1100℃程度に加熱します。

火床から取り出し槌で強く叩き本付しますが、

最初は鍛接材を鍛接面から追い出すように、

中心から外側に向けて平らに万遍なく叩きます。

叩き終えたら、

鍛接面周りに付着した鍛接材や酸化膜をワイヤーブラシで除去し、

更に鍛接剤を振り掛け火床に入れ、

1100℃程度に加熱します。

火床から取り出し、

鋼を地金に巻くように叩きます。

叩き終えたら、

鍛接面周りに付着した鍛接材や酸化膜をワイヤーブラシで除去し、

更に鍛接剤を振り掛け火床に入れ、

1100℃程度に加熱します。

火床から取り出し、

地金と鋼の境目を側面から叩き、

鍛接を終了します。


以上の鍛接の際の温度管理で大切なのは、過熱(オーバーヒート)しない事です。

鍛接の加熱温度である1000℃〜1100℃程度でも、

鋼の結晶粒子は粗大化し、

其のまま焼入れしたら、

確実に焼き割れしてしまいます。

ですから、

その後の鍛錬により結晶粒子を小さくする必要が有る訳ですが、

温度を上げ過ぎて1400℃近くに成ると鋼が壊れてしまい、

鍛錬しても結晶粒子は小さくなりません。

そうなったら廃棄するしかないので、

注意しなくてはいけません。


続いて、

鍛接で粗大になった結晶粒子を小さくする為に、

鍛接を終えた素材を950℃程度に加熱し、

鍛錬しながら所定の形に整えていきます。


なお、

この後のヒツ穴を抜く工程は、

丸鋼玄能と同じなので、

1−2.丸鋼玄能の火造り工程を参照ください。
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今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
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