未だ逢えぬ君へ送る・・・「心の章」

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求人連載　たった一人の継承者に向けて
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・鋼付玄能の封印

幸三郎さんから頂いたヒントをもとにして、

すぐに新たな鋼付玄能を製作し、

評価してもらいに再度うかがい、

それを習慣化していきました。

そしてお伺いするたびに、

いろいろと指導されて、

少しずつ上達していったのです。

そしてある日突然に

「最初はあんたに教えるつもりなど少しも無かった。

だが乗りかかった船だから、

これからも面倒を見てやる」と言っていただき、

いろいろと条件は出されましたが、

弟子にしてもらえたのです。

ですが、

それまで幸三郎さんは私の質問に細かく答えてくれていたのに、

弟子になってからは、

具体的な答えは教えてくれなくなったのです。

代わりに次々と質問を繰り出し、

私の内にあるものを引き出すような指導法に変わっていったのです。

次第に私もすぐに答えを聞くようなことがなくなりましたが、

それが何故なのか、

今ではよく理解しています。

その時が、

教え教わる関係から、

育て育てられる関係に変わった瞬間だったのです。

しばらくして、

タガネで自分の銘も入れた正当な鋼付四角玄能８０匁(もんめ)（３００ｇ）を完成させた時に、

師匠から

「鋼付けは出来るようになった。

しかしまだ玄能にはなっていません。

玄能を勉強したいなら鋼付けではなく全鋼のものの完成度を上げなくてはいけません。

全鋼で正当な玄能が出来さえすれば、

鋼付玄能などはいとも容易く出来るものです。

だから鋼付玄能は一旦封印し、

これからは全鋼で勝負していきなさい」と言い渡されたのです。

そしてそこから、

私の人生を掛けた真剣勝負が始まったのです。

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今日も読んでいただいて、ありがとうございました。

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玄能日記

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