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   焼入れ余熱中のダルマ玄能

第六章 熱処理
・玄能・金槌の熱処理 (1)


多くの方は、

玄能・金槌がどんな熱処理をされているのかご存じないと思いますので、

数ある方法の中で、

私の行っている掛け焼(かけやき)という焼入れ方法を紹介します。

なお、

丸鋼も鋼付も基本的には同じ作業方法を取りますが、

相違する部分については、

適宜補足説明します。


焼入れする玄能・金槌をコークス火床(ホド:鍛冶仕事で使う簡易炉のこと)の中に入れ、

焼入れ温度(約800℃)を目指して、

徐々に加熱していきます。


加熱出来たら、

全体が均一な温度になるように、

火床の中で調整します。


頃合いをみて水道の蛇口から水を出し、

加熱した玄能・金槌に水を掛けます。

この際に重要なことは、

硬くしたいところだけに水を掛け、

そこを早く冷やす(急冷)ということで、

硬くしたくないところには出来るだけ水を掛けずに、

ゆっくり冷やします(徐冷)。

なお、

鋼付玄能・金槌の場合には、

地金部分に水が掛かっても硬く成りませんが、

基本的には同じ作業方法を取ります。


勝負は一瞬で決まりますが、

秘訣は何℃で水を掛けるかなのです。

この温度は焼入れ温度とは別に、

急冷温度(約700℃)と言いますが、

これが最適だと、

焼入れしたいところにきれいに水が掛かり、

急冷出来ます。

ですが、

その急冷温度が高すぎると、

掛けた水が一瞬で水蒸気の幕となり、

水をはじいてしまいます。

そうなれば当然のこと急冷は叶わず、

充分な硬度が得られません。

そうかと言って、

大量の水を掛けて無理に冷やそうとすれば、

徐冷したいところにも水が掛かり、

硬くしたくない所まで硬くなってしまいます。

それとは逆に、

急冷温度が低すぎれば、

焼きムラ(ムラに焼きが入ること)を起すか、

全く焼きが入りません。


また玄能・金槌は形状も様々で、

サイズも小さなものから大きなものまで様々ありますから、

それに応じて、

掛ける水の量と冷やす時間を調整しなければなりません。


なんだかとても面倒くさい話ですが、

玄能鍛冶は火と水を自在に操る魔術師足らねばならないのです。
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今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
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