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・焼き割れを防ぐには (2)


2.焼入れの際に焼入れ温度までの加熱が適切に行われていること。


焼入れの際の加熱には様々な加熱炉が使用されますが、

私の場合にはコークス火床(ほど)を使用します。

コークス火床は炉内温度が場所により不均一なため、

炉内に投入した材料が局部的に過熱(オーバーヒート)することがあります。

局部過熱した鋼はその部分の組織が粗大化し、

焼き割れの原因になります。

そこで、

炉内の温度を上げ過ぎることなく、

且つ材料をこまめに移動・回転させながら、

ゆっくりと均等に加熱しなければ成りません。


ただしのんびりし過ぎると、

鋼の表面に厚い酸化膜が付いてしまい、

これが焼入れでの急冷の際に鋼と水を隔てる壁となり、

冷却を阻害します。

その結果強く焼きが入らなかったり、

焼きムラが出たりして、

それが焼割れの原因になることがあります。


それとは逆に、

薄い酸化膜は冷却を早めるため、

酸化膜の厚さをうまく調整することが、

良い焼きを入れる秘訣にもなります。


因みに、

炉内温度が不均一になりやすいリスクを負ってまで、

コークス火床を使用するのは、

熟練すれば炉内の不均一な温度を逆手に取り、

加熱速度や温度を調節しやすいからです。

また、

加熱の際に多くの酸素を送り込むと、

酸化膜が付き易くなりますが、

コークス火床は少ない酸素で加熱出来るため、

酸化膜が付きにくく、

よって酸化膜の厚さの調整もし易いのです。


この酸化膜の厚さは、

先にお話ししたように焼入れ性に大きく関係する他に、

玄能・金槌は焼き肌がそのまま商品になるので、

綺麗な焼き肌を目指すためにも、

コークス火床は重要なのです。
今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
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