玄能・金槌・パチンコ槌・各種ハンマー製造                     HOMEサイトマップ
相豊ハンマー
           ご意見やご感想はこちらまでメールで送ってください。
blogtop 「心の章」top 「技の章」top 玄能日記 プロフィール 企業概要
求人連載 たった一人の継承者に向けて
未だ逢えぬ君へ送る・・・「技の章」


第八章 火造り雑感
・上達した故の失敗



上達した故の失敗などと言うと、

慣れによる油断が引き起こす失敗と思うかもしれませんが、

そうでは有りません。

具体的な事例で説明しましょう。


それまでは何も問題が無かったのに、

有る日突然、

製作した玄能の殆どに同様な焼き傷(焼き割れ)が出ることがあります。

師匠は「一緒に焼入れしたものが同様に失敗するのは、上達した証です」と言いましたが、

あまり嬉しくありません。

壁に突き当たったという事ですから。


そこで、

失敗する前と後を比較します。

この様な場合に問題となるのは、

ほとんどが火造りと焼入れです。


まず、

火造りの面で失敗する前と後を比較します。

一番の違いは、

明らかに無駄槌(打ち損じ)が減り、

手際よく作業できる様に成りました。

無駄槌が減るということは、

素材を叩く回数と時間が減るという事です。

火造り時の温度管理は、

以前より格段に良く出来ているので、

それは問題ないでしょう。


次に、

焼入れの面で失敗する前と後を比較します。

以前と比べ、

焼入れの精度(温度管理や冷やし方)が上がり、

硬く強靭な焼きが入るようになっています。


以上を鑑みると、

焼きは硬く強靭に入るのですから、

他をそれに合わせて改善するべきで、

焼き傷が出ないように軟らかめに焼入れしようなどとは、

決して考えてはいけません。


それでは火造りをどの様にすれば、

その焼入れに耐えうる金属組織に改善出来るのでしょうか?

そこで私は考えます。

火造りの際に叩く回数と時間を以前のように増やし、

その他の条件は同じにして焼入れしたらどうなるのか?

手際よく短時間に火造りできるものを、

敢えて叩く回数と時間を増やすには、

どうしたら良いのか?


出した答えは、

使用する材料(丸棒)を同じ重量でも、

あえて径が細いものに変更することで、

叩く回数と時間を増やすことです。

その結果、

予想通りに焼き傷は出なくなりました。


以上の様に、

同じように作業をしているつもりでも、

少しずつ上達して、

ある日突然に失敗してしまうことが有ります。


ですから私の仕事は、

毎日が計画し、

実行し、

検証し、

そして改善することの連続であり、

私はその過程が大好きなのです。

ところで、

貴方はこんな話を聞いていて、

そろそろ私と一緒に仕事がしたくなってきたのではありませんか?
前に戻る       次に進む
今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
 関連記事
求人連載 たった一人の継承者に向けて
未だ逢えぬ君へ送る・・・
「心の章」
求人連載 たった一人の継承者に向けて
未だ逢えぬ君へ送る・・・
「技の章」
玄能日記 私のどうでもいい日記です。
お暇な方だけどうぞ。(笑)